かさぶた
声を、息を。
呑みこむように詰まらせて、なんとか言葉を絞り出す。
「どう、して……」
ああ、なんて最低な。
彼の傷をえぐるだけの言葉なのかしら。
「それねー、おれもわかってないんだー」
「え?」
「しんみりしたの嫌だから、話簡単に済ませるねって言って、『別れて』だよ?
すごいよねーっ」
ケラケラ、と笑う姿に胸が痛くてたまらなくなる。
「なんかもう、訊けるような流れじゃなくてさー。
じゃあね、みたいな。
さくっと話、終わっちゃったんだよね」
どうして……、
「どうして、笑っていられるの」
「あー、本気で好きじゃなかったのかって?」
「違う!」
本気で好きじゃなかったわけないじゃない。
大切に想ってなかったわけないじゃない。
私がどれだけ、……どれだけ!
彼女を好きなあなたの姿を見てきたと思ってるの。
岡村くんの次に、知ってるのは私よ。
岡村くんの気持ちを理解しているのは、私なの。
────────それがなんの意味もなくたって。