かさぶた
手伝うとそう言ってくれるのは、岡村くんくらい。
みんな、私が忙しそうにしていても気にもかけないの。
親しくないし、むしろ私は好かれてはいないものね。
私もひとりで仕事をする方が気楽だし、今のままでもいいんだけど……。
好きな人に「手伝う」なんて言われて、浮かれない子なんていないと思う。
彼は口先だけじゃなくて、何度か実際に手伝ってくれたこともあるんだもの。
ふわふわ、と夢見心地。
会話を続けながら自分の席へと近づくけど、その間もまるで綿菓子の上を歩いているみたい。
「もうすぐこのクラスも終わりだねー」
「そう、ね」
「さみしくなるね」
「っ……」
私は机の中を整理していた手を止めて、目を見開く。
さみしくなる、なんて。
それは、それはきっと私の方。
クラスが離れれば、きっと関わりなんてなくなる。
岡村くんとの関係を保つなんて、これといって仲がいいわけでもない私には不可能。
だって、距離が開くのはとても簡単なことだから。