TRIGGER!2
 風間は少し、目を伏せて。


「佐久間クリニックで彼女を見てから、ずっとドアの確認をしていました」


 彩香は納得する。
 風間にとって何よりも大事なのは、美和を探す事。
 彩香とジョージもこの一連の件に深入りしたのは、クリニックで見た美和がきっかけだったが、調べていくうちにあの“記憶を無くす薬”にぶち当たった。


「でもどうして美和を探すのに、ドアの確認をしなくちゃならなかったんだ?」
「美和が・・・彼女が居なくなったのは、流動型のドア付近ーーつまり、空間の狭間だったからです」


 そう答える風間の表情は、重苦しかった。
 彩香は少し、目を細めて。
 佐久間クリニックで美和の姿を見てから、風間は美和がまだ生きているのではないかと思い、片っ端から流動型のドアの確認をしていた。
 だから、峯口のパソコンが必要だったのだ。
 本当ならちゃんと説明して貸してもらえば済む話なのだが、そんな余裕もないくらい風間は焦っていた。
 明らかにバレバレの、らしくない行動をしてまで。
 風間はそれ程、美和を探したかった。


「俺もあの時の事は詳しくは聞いてなかったよな。ここまで来たらちゃんと話せよ、あの時何があったのか」


 灰皿にタバコを押し付けて、ジョージは言った。
 風間は、静かに頷く。
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