TRIGGER!2
 目の前には、こっちに向けられる無数の銃口。


「ーーごめん」
「何がです? 帰り道はここの最上階です。時間がありません、強行突破します」


 だが、多勢に無勢なのは明らかだ。
 こっちが動いたら最後、身体中に風穴があくのは、目に見えている。
 時間は、刻一刻と流れて行く。
 ドアのタイムリミット、そして美和の容体。
 何か1つ。
 何か1つでも、この状況を打破してくれるものがあれば。
 爆弾でも、空から降ってくれれば。
 どうせこの世界はムチャクチャだ、そんな事が起きても全然不思議ではない。
 ーーその時。
 ダァン!! ダァン!!
 銃声がした。
 風間や敵が持っている、誰でも扱える小さな銃の音ではない、ライフル銃の音だ。


「・・・!?」


 敵の何人かが倒れ、ビルに入る入り口の突破口が開く。


「来い!!」


 聞こえてきた声に弾かれるようにして、風間と美和はビルに入る。
 その間も、ライフル銃の音は立て続けに響き。
 とうやら、二階の窓から何者かがこっちに加勢してくれているらしい。
 このビルは五階建てで、エレベーターは見当たらない。
 風間は左手に階段を見つけ、迷わずにそこを上がる。
 二階の踊り場では、身体付きがやたらと筋肉質な大男がライフル銃を片手に立っていた。


「ジョージ・・・」


 もう意識が朦朧としてきた美和が、大男を見て呟いた。
 ジョージと呼ばれた大男はこっちに近付いてきて、美和の頬に手を添えた。


「何やってんだよ・・・そんなになってまで」


 そして、風間を見つめる。


「あいつらは俺が連れて行く。五階に上がったら階段正面の店に行け。そこの非常口のドアが帰り道だ、急げ」


 誰だか分からないが、美和の知り合いらしいこの大男の言う事を、今は信じる他はない。
 風間は頷くと、ジョージの横を通って階段を登り始めた。
 だがすぐに、声が聞こえる。
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