TRIGGER!2
「ここまで連れてきてくれて、ありがとう・・・わたしはもう大丈夫よ」
「嘘つくな。俺を助ける為にやっているんなら止めろ。一緒に帰るんだ。俺はまだ美和とーー」
「嘘じゃないわ。最初から言ってるでしょう? わたしが会いたかったのは、あの人なのよ」
その場を動かない風間の身体を、美和は非常口の方に押しやる。
壁際の男の両脇に立っていた2人が、美和に近付いて来た。
風間は銃の引き金に指を掛ける。
「止まれ。それ以上彼女に近付くな」
だが、美和は自らその男たちの元へ歩み寄る。
視線は、風間に向けたまま。
その視線だけで、痛い程感じてしまう。
美和は本気でここから風間だけを逃がし、自分は残るつもりだ。
「ーー分かりました」
銃を下ろし、風間は言った。
美和を見つめたまま、ゆっくりと後ずさる。
どうか。
どうか、伝わって欲しい。
こんな場所で、別れたくはない。
非常口のドアを背にしたその瞬間、風間は美和に手を伸ばす。
「来い!!」
その瞬間、美和は駆け出した。
非常口のドアを開けて半身を乗りだして。
こっちに来た時と同じように、身体中に激痛が走った。
それでも視線を上げると、美和の後ろで、男たちが銃をこっちに向けて構えるのが見えた。
「美和!!」
風間は必死で銃を持ち上げて、狙いを定める。
もう少しで、美和に手が届くという瞬間。
銃声が、響く。
「行って、隼人ーー!」
叫びながら、美和が前のめりに倒れかけーー。
目一杯伸ばした風間の手は、美和の指先をかすめた。
「美和ーー!!!!」
叫んだその瞬間、身体の痛みが消える。
同時に、今移っていた光景が、何事もなかったように消えた。
・・・いや、消えたのは、そこにいた人間だけだ。
こっちに向けて発砲した男たちも、壁際に立ったまま微動だにしないあの男も。
そして、美和も。
「・・・・・」
風間は、誰も居なくなったフロアに佇む。
夢ではない証拠に、自分の手には、峯口から預かった銃が握られていて。
もう片方の手には、薬が入った小さな袋が。
最後に触れた指先で、美和が薬をこっちに渡したのだ。
「あらぁ? それ、どこに落ちてたの?」
いきなり言われて、風間は驚いて声がした方を振り向く。
そこには、白衣を着た小柄な女が、ポケットに手を突っ込んだまま立っていた。
ジョージが言っていた女とは、彼女の事か。
確か、連れて来いと。
ジョージは、峯口陽介の息子で。
峯口陽介は、繁華街の真ん中を流れる大きな川の対岸にある『峯口建設』の社長だ。
「ーー行きましょう」
力なく言って、風間はその小柄な女を連れて、テナントビルを後にしたーー。
「嘘つくな。俺を助ける為にやっているんなら止めろ。一緒に帰るんだ。俺はまだ美和とーー」
「嘘じゃないわ。最初から言ってるでしょう? わたしが会いたかったのは、あの人なのよ」
その場を動かない風間の身体を、美和は非常口の方に押しやる。
壁際の男の両脇に立っていた2人が、美和に近付いて来た。
風間は銃の引き金に指を掛ける。
「止まれ。それ以上彼女に近付くな」
だが、美和は自らその男たちの元へ歩み寄る。
視線は、風間に向けたまま。
その視線だけで、痛い程感じてしまう。
美和は本気でここから風間だけを逃がし、自分は残るつもりだ。
「ーー分かりました」
銃を下ろし、風間は言った。
美和を見つめたまま、ゆっくりと後ずさる。
どうか。
どうか、伝わって欲しい。
こんな場所で、別れたくはない。
非常口のドアを背にしたその瞬間、風間は美和に手を伸ばす。
「来い!!」
その瞬間、美和は駆け出した。
非常口のドアを開けて半身を乗りだして。
こっちに来た時と同じように、身体中に激痛が走った。
それでも視線を上げると、美和の後ろで、男たちが銃をこっちに向けて構えるのが見えた。
「美和!!」
風間は必死で銃を持ち上げて、狙いを定める。
もう少しで、美和に手が届くという瞬間。
銃声が、響く。
「行って、隼人ーー!」
叫びながら、美和が前のめりに倒れかけーー。
目一杯伸ばした風間の手は、美和の指先をかすめた。
「美和ーー!!!!」
叫んだその瞬間、身体の痛みが消える。
同時に、今移っていた光景が、何事もなかったように消えた。
・・・いや、消えたのは、そこにいた人間だけだ。
こっちに向けて発砲した男たちも、壁際に立ったまま微動だにしないあの男も。
そして、美和も。
「・・・・・」
風間は、誰も居なくなったフロアに佇む。
夢ではない証拠に、自分の手には、峯口から預かった銃が握られていて。
もう片方の手には、薬が入った小さな袋が。
最後に触れた指先で、美和が薬をこっちに渡したのだ。
「あらぁ? それ、どこに落ちてたの?」
いきなり言われて、風間は驚いて声がした方を振り向く。
そこには、白衣を着た小柄な女が、ポケットに手を突っ込んだまま立っていた。
ジョージが言っていた女とは、彼女の事か。
確か、連れて来いと。
ジョージは、峯口陽介の息子で。
峯口陽介は、繁華街の真ん中を流れる大きな川の対岸にある『峯口建設』の社長だ。
「ーー行きましょう」
力なく言って、風間はその小柄な女を連れて、テナントビルを後にしたーー。