TRIGGER!2
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長い話だった。
風間がこの街に来て美和と出会い、峯口とジョージに出会ったきっかけの事件。
「あの後、私は警察を辞めて峯口建設にお世話になる事にしたんです」
飲み干したビールの缶をテーブルに置いて、風間は言った。
この街では元々、警察組織は何処にも手が回らない状況で、そうじゃなくても『あっちの世界』では全く機能しないのだ。
それならば、あっちの世界で自分が動くには、峯口の元に身を寄せている方が都合がいいと考えた。
当然、それから風間は何回もこのマンションの屋上からあっちの世界に行き、美和を探したが。
美和は、何処にも居なかった。
そして、美和と関わっていた『あの人』が誰なのかも、結局は分からずじまいだった。
「あの時の俺とオヤジの目的は、千絵ちゃんの身柄を確保する事だったからな」
ジョージの声音は、心なしか沈んでいる。
正直言って、当時は、繁華街の裏で出回ろうとしているこの薬というものがどんなものなのか、しっかり把握してなかった。
水島千絵を確保してよくよく聞いてみたら、この天才と呼ばれる科学者は、とんでもないものを作っていたのが分かって。
あの時もっと上手く立ち回れていたら。
そんな後悔が、薄く滲んでいた。
「やっぱ、隼人がこっちに戻った時にそこにいた女っつうのは、水島なんだな?」
彩香が聞く。
「そうです。そして、美和が最後に渡してくれた薬は・・・」
言われなくても分かる。
水島が開発したという、記憶を無くす薬だ。
それを言うと、ジョージは頷く。
「当時はまだ試作段階でな。あれを服用すると、麻薬に似たような副作用を起こしてたんだ」
強力な幻覚や、気分の高揚をもたらす薬。
美和が関わっていた男はそこに目を付けて、水島を拘束してあっちの世界で薬を開発させていた。
その試作品を美和が手に入れ、風間に助けを求めたのだ。
彩香はずっと、考えている。
水島はずっとあっちの世界で、あの薬を開発していたのか?
長い話だった。
風間がこの街に来て美和と出会い、峯口とジョージに出会ったきっかけの事件。
「あの後、私は警察を辞めて峯口建設にお世話になる事にしたんです」
飲み干したビールの缶をテーブルに置いて、風間は言った。
この街では元々、警察組織は何処にも手が回らない状況で、そうじゃなくても『あっちの世界』では全く機能しないのだ。
それならば、あっちの世界で自分が動くには、峯口の元に身を寄せている方が都合がいいと考えた。
当然、それから風間は何回もこのマンションの屋上からあっちの世界に行き、美和を探したが。
美和は、何処にも居なかった。
そして、美和と関わっていた『あの人』が誰なのかも、結局は分からずじまいだった。
「あの時の俺とオヤジの目的は、千絵ちゃんの身柄を確保する事だったからな」
ジョージの声音は、心なしか沈んでいる。
正直言って、当時は、繁華街の裏で出回ろうとしているこの薬というものがどんなものなのか、しっかり把握してなかった。
水島千絵を確保してよくよく聞いてみたら、この天才と呼ばれる科学者は、とんでもないものを作っていたのが分かって。
あの時もっと上手く立ち回れていたら。
そんな後悔が、薄く滲んでいた。
「やっぱ、隼人がこっちに戻った時にそこにいた女っつうのは、水島なんだな?」
彩香が聞く。
「そうです。そして、美和が最後に渡してくれた薬は・・・」
言われなくても分かる。
水島が開発したという、記憶を無くす薬だ。
それを言うと、ジョージは頷く。
「当時はまだ試作段階でな。あれを服用すると、麻薬に似たような副作用を起こしてたんだ」
強力な幻覚や、気分の高揚をもたらす薬。
美和が関わっていた男はそこに目を付けて、水島を拘束してあっちの世界で薬を開発させていた。
その試作品を美和が手に入れ、風間に助けを求めたのだ。
彩香はずっと、考えている。
水島はずっとあっちの世界で、あの薬を開発していたのか?