TRIGGER!2
だが彩香は構わずに、床にぺたりと座り込んだ少女に話し掛けた。
「おい、お前。さっきも言ったけどな、あたしはお前のようにはならない。なりたくねぇんだよ」
「止めろ!!」
佐久間が叫び、彩香の額に銃を突き付けた。
だが彩香は腕組みをしたまま、少女に言葉を投げ掛ける。
「過去をどうするかは本人の自由なんだよ。その自由を奪われるくらいなら、死んだ方がマシだ。んで、聞くけどな」
少女はゆっくりと顔を上げて、彩香を見上げた。
銃を突き付けられたまま、彩香は少女に向かって笑顔を見せた。
「こんなに煌びやかなステージで踊れて、本当にお前は、幸せだったか?」
「貴様!!」
佐久間が引き金を引いた。
乾いた銃声がフロアに響き渡り、彩香は瞬きもせず、その場を動かない。
佐久間が引き金を引く直前、少女が立ち上がり、その腕を押し上げたのだ。
銃弾は天井に当たる。
佐久間は驚いた表情で、少女を見つめている。
「ぷっ・・・あはははっ!」
彩香は思わず吹き出した。
そして、ひとしきり笑ってから、少女に視線を戻して。
「何だよ、お前も動けるじゃねぇか。自分の意志でさ」
少女は涙を流しながら、何度も頷いた。
佐久間はフラフラとよろけるように数歩下がり、うわごとのように何かを呟いている。
「私は間違っていない・・・あの薬のお陰で何百人も、幸せになっているんだ・・・私は・・・」
「あなたには聞きたい事がいくつかあります、佐久間先生」
風間が言った時、佐久間はいきなりこっちに銃を向け、発砲した。
「・・・!!」
慌てて身を避ける彩香たち。
その隙に、佐久間はステージに向かって走り出した。
彩香はすかさず追いかけようとする。
風間もジョージもこの傷では、思うように動けないのは分かっていた。
だが、佐久間は何度も銃を撃ちながら、ステージ脇の衣装部屋に逃げ込む。
一瞬遅れて彩香が衣装部屋に入るのと同時に、裏口に通じるドアが閉まったのが見えた。
「チッ!!」
舌打ちをして彩香も続こうとするが、ドアは開かない。
「クソったれ、逃げられたっ!」
苛立ち紛れにドアをガツンと蹴った時、風間が部屋に入ってきた。
「本職の到着です、彩香さん。ここから出ましょう」
風間の言うとおり、ここからでも微かにサイレンの音が聞こえる。
どうやら警察が到着したらしい。
「つか、来るのが遅くねぇか?」
客がここから逃げ出してからかなりの時間が経っている。
「さっきまでここにいたお客さんは通報はしていないようですね。警察は私が呼びましたから」
「何で隼人が」
「ここで何があったのかを、お客さん達が忘れてしまっていると悪いので。こっちの世界での事件は一応、本職に頼るのが一番だと思いましたし」
「おい、お前。さっきも言ったけどな、あたしはお前のようにはならない。なりたくねぇんだよ」
「止めろ!!」
佐久間が叫び、彩香の額に銃を突き付けた。
だが彩香は腕組みをしたまま、少女に言葉を投げ掛ける。
「過去をどうするかは本人の自由なんだよ。その自由を奪われるくらいなら、死んだ方がマシだ。んで、聞くけどな」
少女はゆっくりと顔を上げて、彩香を見上げた。
銃を突き付けられたまま、彩香は少女に向かって笑顔を見せた。
「こんなに煌びやかなステージで踊れて、本当にお前は、幸せだったか?」
「貴様!!」
佐久間が引き金を引いた。
乾いた銃声がフロアに響き渡り、彩香は瞬きもせず、その場を動かない。
佐久間が引き金を引く直前、少女が立ち上がり、その腕を押し上げたのだ。
銃弾は天井に当たる。
佐久間は驚いた表情で、少女を見つめている。
「ぷっ・・・あはははっ!」
彩香は思わず吹き出した。
そして、ひとしきり笑ってから、少女に視線を戻して。
「何だよ、お前も動けるじゃねぇか。自分の意志でさ」
少女は涙を流しながら、何度も頷いた。
佐久間はフラフラとよろけるように数歩下がり、うわごとのように何かを呟いている。
「私は間違っていない・・・あの薬のお陰で何百人も、幸せになっているんだ・・・私は・・・」
「あなたには聞きたい事がいくつかあります、佐久間先生」
風間が言った時、佐久間はいきなりこっちに銃を向け、発砲した。
「・・・!!」
慌てて身を避ける彩香たち。
その隙に、佐久間はステージに向かって走り出した。
彩香はすかさず追いかけようとする。
風間もジョージもこの傷では、思うように動けないのは分かっていた。
だが、佐久間は何度も銃を撃ちながら、ステージ脇の衣装部屋に逃げ込む。
一瞬遅れて彩香が衣装部屋に入るのと同時に、裏口に通じるドアが閉まったのが見えた。
「チッ!!」
舌打ちをして彩香も続こうとするが、ドアは開かない。
「クソったれ、逃げられたっ!」
苛立ち紛れにドアをガツンと蹴った時、風間が部屋に入ってきた。
「本職の到着です、彩香さん。ここから出ましょう」
風間の言うとおり、ここからでも微かにサイレンの音が聞こえる。
どうやら警察が到着したらしい。
「つか、来るのが遅くねぇか?」
客がここから逃げ出してからかなりの時間が経っている。
「さっきまでここにいたお客さんは通報はしていないようですね。警察は私が呼びましたから」
「何で隼人が」
「ここで何があったのかを、お客さん達が忘れてしまっていると悪いので。こっちの世界での事件は一応、本職に頼るのが一番だと思いましたし」