TRIGGER!2
☆  ☆  ☆



 西の空には夕焼けの名残りが息を潜め、今夜もまた闇が空を支配しようとしていた。
 マンションの屋上のドアを開けると、もう既にジョージが待っていた。
 迷彩柄のカーゴパンツに黒いタンクトップを着ている。
 こっちに気付くと、ジョージは軽く手を上げた。


「隼人は?」
「まだ来てないな。ま、今回はアイツに全て任せるつもりだからなぁ、来るまで大人しく待つとするよ」


 何だかんだ言っても、ジョージも風間の事を信用しているのだ。
 彩香がジョージに笑いかけた時、オカマちゃんトリオがやってくる。


「あらぁ? 風間ちゃんまだなのぉ?」
「・・・・・・」


 3人の出で立ちを見て、思わず固まってしまう彩香とジョージ。
 今朝と違い、いつもの店に出るときのカツラをつけて、無精髭も綺麗に手入れをして、化粧も夜の闇の中でも映えるくらいバッチリ決まっているが。
 首から下は、モロに建築作業員のワークウエアだ。
 しかもどこで売っているのか、ニッカポッカの色はオカマちゃんそれぞれのテーマカラーであるピンク、グリーン、パープルで。


「・・・違和感ありまくりだろ・・・」


 何とも言えない表情を浮かべ、ジョージが呟いた。
 全くだ、と彩香も頷いて。


「お前ら、何するつもりなんだよ?」
「今夜はね、あたし達にとっても大事な戦いなのよ。あたしをこんな目に遭わせてくれた奴らに、一矢報いてやるんだから」
「で、その格好なのか?」
「彩香。これはねぇ、あたし達の最上級の戦闘服なのよ」


 グイッと迫られ、真剣な顔で言うイチゴに、彩香は口元をひくつかせた。
 まぁこの際、格好なんてどうでもいいが。


「それにね」


 夜空を見上げながら、イチゴは言う。


「陽介ちゃんとママは昔、同じ仕事をしてたのよ。そんなママに拾われたのがあたし達よ。ほら、今回あたしが撃たれちゃって、ママはそのためにお店まで休んで動いてくれているのよ。だから少しでも、恩返ししなくちゃね」
「同じ仕事って・・・解体業か?」
「あら、知ってるの彩香?」
「まぁ、な」


 この3人を始め、あの妖艶な桜子までそんな男らしい職業についていたのか。
 本当に、ここにいる連中はずっと前から、繋がっている。
< 159 / 206 >

この作品をシェア

pagetop