TRIGGER!2
「はいはい、分かりましたよ」
ジョージは肩をすくめて、行くぞー、と非常階段を降りていく。
その後を追おうとした彩香に、イチゴが小さく声を掛けた。
「ジョージから一発貰ったから、風間ちゃんの頭も少しは冷えるでしょ。ほとぼりが冷めたらあたし達が風間ちゃんのお尻を蹴ってあげるから、先に行って」
「男って便利よねぇ、一発殴れば心が通じ合うんだから」
「お前らにゃ言われたくねぇらしいよ?」
彩香は苦笑して、軽く手を上げると非常階段に向かった。
☆ ☆ ☆
相変わらずこの世界も、現実世界と同じく、この時間に起き出して活動を開始する。
煌びやかでゴージャスなネオンサイン。
これからの楽しい夜を過ごそうと、足取りも軽く行きつけの店に向かう人々。
この中のどれくらいの人間が、まやかしのこの世界の事を知っているのだろう。
それはほんの一握り人間なのかも知れないし、実はみんなが知っている事なのかも知れない。
そんな中で、今夜は一体どのくらいの人間が、ドアの向こうのこの世界で動くのだろう。
「んで?」
前を歩いているジョージが、こっちを振り返った。
「このままブラブラ散歩してるだけじゃねぇよな?」
「あぁ、今夜の舞台はこの繁華街一帯だ。取り敢えず仕留める相手は田崎。だがあのハゲ、未だに姿を見せねぇし」
雑踏が行き交うネオン街に立ち止まり、彩香はタバコに火を点けた。
微風に乗ってゆっくりと流れる白い煙を目で追いながら、彩香は考えを巡らせる。
「敵は・・・それだけじゃねぇしな」
「彩香?」
ジョージは呼び掛ける。
いつもの彩香とは何処か、雰囲気が違うような気がして、まじまじとその顔を覗き込んで。
「真夜中までまだ時間があるんだ、ちょっと外れるけど、佐久間の病院まで行ってみようぜ」
「ん? あぁ」
「どうしたんだよ?」
慌てて離れるジョージを見て、彩香は笑う。
こんな所は、いつもの彩香なのだが。
佐久間は昨日の時点で“スターダスト”のドアからこっちに逃げ込んでいる。
もしかしたら、佐久間心療内科クリニックに戻っているのかも知れないと、彩香は思った。
「歩くのかったりぃな」
ジョージは言いながら、道端に止めてあったバイクに近付くと、腰にぶら下げていた小さなバッグからドライバーを取り出して。
「ここじゃ、こういうことしても怒られねぇのがいいよな」
エンジンがかかったバイクにまたがりながら、ジョージは顎をしゃくって彩香に「乗れ」とジェスチャーする。
全く便利だよなぁ、と彩香はジョージの後ろに乗った。
駅前辺りまで来ると、繁華街の雑然とした雰囲気とは一転して、人通りもなく静かだった。
ジョージは肩をすくめて、行くぞー、と非常階段を降りていく。
その後を追おうとした彩香に、イチゴが小さく声を掛けた。
「ジョージから一発貰ったから、風間ちゃんの頭も少しは冷えるでしょ。ほとぼりが冷めたらあたし達が風間ちゃんのお尻を蹴ってあげるから、先に行って」
「男って便利よねぇ、一発殴れば心が通じ合うんだから」
「お前らにゃ言われたくねぇらしいよ?」
彩香は苦笑して、軽く手を上げると非常階段に向かった。
☆ ☆ ☆
相変わらずこの世界も、現実世界と同じく、この時間に起き出して活動を開始する。
煌びやかでゴージャスなネオンサイン。
これからの楽しい夜を過ごそうと、足取りも軽く行きつけの店に向かう人々。
この中のどれくらいの人間が、まやかしのこの世界の事を知っているのだろう。
それはほんの一握り人間なのかも知れないし、実はみんなが知っている事なのかも知れない。
そんな中で、今夜は一体どのくらいの人間が、ドアの向こうのこの世界で動くのだろう。
「んで?」
前を歩いているジョージが、こっちを振り返った。
「このままブラブラ散歩してるだけじゃねぇよな?」
「あぁ、今夜の舞台はこの繁華街一帯だ。取り敢えず仕留める相手は田崎。だがあのハゲ、未だに姿を見せねぇし」
雑踏が行き交うネオン街に立ち止まり、彩香はタバコに火を点けた。
微風に乗ってゆっくりと流れる白い煙を目で追いながら、彩香は考えを巡らせる。
「敵は・・・それだけじゃねぇしな」
「彩香?」
ジョージは呼び掛ける。
いつもの彩香とは何処か、雰囲気が違うような気がして、まじまじとその顔を覗き込んで。
「真夜中までまだ時間があるんだ、ちょっと外れるけど、佐久間の病院まで行ってみようぜ」
「ん? あぁ」
「どうしたんだよ?」
慌てて離れるジョージを見て、彩香は笑う。
こんな所は、いつもの彩香なのだが。
佐久間は昨日の時点で“スターダスト”のドアからこっちに逃げ込んでいる。
もしかしたら、佐久間心療内科クリニックに戻っているのかも知れないと、彩香は思った。
「歩くのかったりぃな」
ジョージは言いながら、道端に止めてあったバイクに近付くと、腰にぶら下げていた小さなバッグからドライバーを取り出して。
「ここじゃ、こういうことしても怒られねぇのがいいよな」
エンジンがかかったバイクにまたがりながら、ジョージは顎をしゃくって彩香に「乗れ」とジェスチャーする。
全く便利だよなぁ、と彩香はジョージの後ろに乗った。
駅前辺りまで来ると、繁華街の雑然とした雰囲気とは一転して、人通りもなく静かだった。