TRIGGER!2
だが異様な雰囲気は、ナースステーションのその奥・・・病室から感じる。
病室は向かって左側に一列に5部屋並んでいて、その一番奥にある病室のドアの隙間から、細く細く、ほんのわずか、明かりが漏れていた。
彩香は壁に背中を付け、ゆっくりとナースステーションの前を横切る。
敵が潜んでいそうな、ありとあらゆる場所に神経を集中させながら、ゆっくりと廊下を進んで。
一番奥にある病室の前に辿り着いた。
「・・・・・・」
ただでさえ、黒ずくめの連中はここで彩香たちを待ち伏せしてたのだ。
うっすらと明かりが漏れるこの部屋に居るのは、傭兵であるこの連中を動かせる人間の1人だ。
彩香は短く息を吐き出すと、一気にドアを開けた。
豆電球並みの明かりしか点いてなくても、暗闇に慣れた彩香の目には、嫌というほどハッキリと部屋の様子が見て取れた。
窓際に立っている、1人の人物。
クリームイエローの衣装を身にまとった、線の細い少女が、ゆっくりとこっちを振り返る。
「お前・・・・!」
構えていた銃を下ろして、彩香は呟いた。
少女の両腕は、窓に建て付けてある落下防止の柵に、きつく縛り付けられていた。
こっちを見つめる少女の目から、一筋の涙が溢れる。
「・・・ごめん・・・なさい・・・」
小さな声だった。
だが、確かに聞こえた。
弾かれたように彩香は動き、少女に駆け寄ろうとする。
その瞬間、一発の銃声が、病室に響いた。
「・・・っ!?」
彩香は呻いて、その場に膝を付く。
左肩に、焼けるような激痛が走った。
「待っていたよ、彩香さん」
すぐさま起き上がり、彩香は声が聞こえたドアの方に銃を向けた。
「珍しく当たったなぁ、ド素人のクセに」
そこに立っていたのは、佐久間だ。
こっちに向けたままの銃からは、硝煙が立ちのぼっている。
「あんたに待たれる筋合いなんてねぇ筈だけどな」
「そうだな。厳密に言えば、待っていたのは私ではない」
佐久間がそう言うと、黒ずくめが2人部屋に入って来て、こっちに銃を向けた。
彩香は窓際の少女を庇う位置に、身体を動かす。
病室は向かって左側に一列に5部屋並んでいて、その一番奥にある病室のドアの隙間から、細く細く、ほんのわずか、明かりが漏れていた。
彩香は壁に背中を付け、ゆっくりとナースステーションの前を横切る。
敵が潜んでいそうな、ありとあらゆる場所に神経を集中させながら、ゆっくりと廊下を進んで。
一番奥にある病室の前に辿り着いた。
「・・・・・・」
ただでさえ、黒ずくめの連中はここで彩香たちを待ち伏せしてたのだ。
うっすらと明かりが漏れるこの部屋に居るのは、傭兵であるこの連中を動かせる人間の1人だ。
彩香は短く息を吐き出すと、一気にドアを開けた。
豆電球並みの明かりしか点いてなくても、暗闇に慣れた彩香の目には、嫌というほどハッキリと部屋の様子が見て取れた。
窓際に立っている、1人の人物。
クリームイエローの衣装を身にまとった、線の細い少女が、ゆっくりとこっちを振り返る。
「お前・・・・!」
構えていた銃を下ろして、彩香は呟いた。
少女の両腕は、窓に建て付けてある落下防止の柵に、きつく縛り付けられていた。
こっちを見つめる少女の目から、一筋の涙が溢れる。
「・・・ごめん・・・なさい・・・」
小さな声だった。
だが、確かに聞こえた。
弾かれたように彩香は動き、少女に駆け寄ろうとする。
その瞬間、一発の銃声が、病室に響いた。
「・・・っ!?」
彩香は呻いて、その場に膝を付く。
左肩に、焼けるような激痛が走った。
「待っていたよ、彩香さん」
すぐさま起き上がり、彩香は声が聞こえたドアの方に銃を向けた。
「珍しく当たったなぁ、ド素人のクセに」
そこに立っていたのは、佐久間だ。
こっちに向けたままの銃からは、硝煙が立ちのぼっている。
「あんたに待たれる筋合いなんてねぇ筈だけどな」
「そうだな。厳密に言えば、待っていたのは私ではない」
佐久間がそう言うと、黒ずくめが2人部屋に入って来て、こっちに銃を向けた。
彩香は窓際の少女を庇う位置に、身体を動かす。