TRIGGER!2
「どうやったらそんなにひねくれ者に育てられるんだろうねぇ」
「素直に生きてるからこうなってるんだよ」
「じゃ、素直に言ってもらおうかねぇ。マンションで住人に会った時は、挨拶するもんだ」
心底うざそうに、彩香は北沢を一瞥する。
だが、何気にホウキを構えているのに気がついて、大袈裟に頭を下げた。
「ご機嫌うるわしゅう、クソババァ」
「全く・・・」
何を言っても無駄だと思ったのか、北沢はまた掃除を始めた。
「ホントに可愛くないガキんちょだねぇ。髪の毛も乾かさないで外に出るなんて。休みなのに身だしなみを整えてる風間さんを見習ったらいいよ」
彩香に背を向けて、北沢はブツブツ文句を言っている。
「隼人、出掛けたのか?」
「さっき出掛けてったよ。きちんとスーツ着て、あんたと違ってちゃんと挨拶してね」
「ふぅん」
彩香はそのまま、マンションを出た。
うだるような暑さの中、近くのコンビニまで歩いて缶ビールを何本かカゴに入れて、ついでにタバコといくらかのつまみも買う。
昼間の繁華街にはまるで人通りがない。
こんな中、どうやって太陽のもとで暮らせと言うのか。
彩香が住んでいるこの街は、夜のネオンが活動開始のサインなのだ。
「分かってねぇなぁ」
1人ごちて、やっとマンションに帰ってくる。
ビールがぬるくならないうちに、早く飲み干してしまいたい。
だが、エントランスに上がる階段を登ろうとしたときに、後ろから声を掛けられた。
「珍しいな。お前が昼間から行動しているなんてな」
ぐぐぐ、と奥歯を噛み締めて、彩香は振り返る。
そこには、この暑さの中でも頭から足先まですっぽりと覆うようなマントを被り、口元を薄い紫のヴェールで隠した女が立っている。
彩香曰わく『ぼったくり占い師』の安曇雛子だ。
管理人の北沢と同じ声の掛けられ方をされたことにも腹が立ったが、それ以上に、彩香はこの女が苦手だった。
だから無視して通り過ぎようとしたのだが。
「素直に生きてるからこうなってるんだよ」
「じゃ、素直に言ってもらおうかねぇ。マンションで住人に会った時は、挨拶するもんだ」
心底うざそうに、彩香は北沢を一瞥する。
だが、何気にホウキを構えているのに気がついて、大袈裟に頭を下げた。
「ご機嫌うるわしゅう、クソババァ」
「全く・・・」
何を言っても無駄だと思ったのか、北沢はまた掃除を始めた。
「ホントに可愛くないガキんちょだねぇ。髪の毛も乾かさないで外に出るなんて。休みなのに身だしなみを整えてる風間さんを見習ったらいいよ」
彩香に背を向けて、北沢はブツブツ文句を言っている。
「隼人、出掛けたのか?」
「さっき出掛けてったよ。きちんとスーツ着て、あんたと違ってちゃんと挨拶してね」
「ふぅん」
彩香はそのまま、マンションを出た。
うだるような暑さの中、近くのコンビニまで歩いて缶ビールを何本かカゴに入れて、ついでにタバコといくらかのつまみも買う。
昼間の繁華街にはまるで人通りがない。
こんな中、どうやって太陽のもとで暮らせと言うのか。
彩香が住んでいるこの街は、夜のネオンが活動開始のサインなのだ。
「分かってねぇなぁ」
1人ごちて、やっとマンションに帰ってくる。
ビールがぬるくならないうちに、早く飲み干してしまいたい。
だが、エントランスに上がる階段を登ろうとしたときに、後ろから声を掛けられた。
「珍しいな。お前が昼間から行動しているなんてな」
ぐぐぐ、と奥歯を噛み締めて、彩香は振り返る。
そこには、この暑さの中でも頭から足先まですっぽりと覆うようなマントを被り、口元を薄い紫のヴェールで隠した女が立っている。
彩香曰わく『ぼったくり占い師』の安曇雛子だ。
管理人の北沢と同じ声の掛けられ方をされたことにも腹が立ったが、それ以上に、彩香はこの女が苦手だった。
だから無視して通り過ぎようとしたのだが。