TRIGGER!2




 繁華街に戻るとバイクを乗り捨てて、彩香とジョージは歩き出す。
 煌々と照らすネオンの明かりの下で改めて見ると、ジョージの怪我も酷かった。
 全身に無数の擦り傷や切り傷。
 だが、撃たれてはいないようだ。


「俺がそんなヘマするかよ」
「あぁそうですか」


 あたしへのイヤミか、と、彩香はふくれっ面で言い返す。


「つかお前こそ大丈夫なのかよ」
「弾は残ってねぇよ。それに骨にも異常はない」
「いや、俺が言いたいのはだな」


 そこまで言った時、彩香はふと足を止めた。
 つられてジョージも立ち止まる。


「雛ちゃん!」


 そこに立っていたのは、雛子だった。


「どうしてこんな所に居るんだよ。何が起きてるのか知ってるだろ?」
「あぁ、知っている」


 ジョージの問い掛けに、雛子は静かに答えた。


「たまにはこの世界に来てみるのも、俺の占い師としての鋭気を養う事になる。増してや今夜は、特別な日だ」
「特別?」
「終わりと始まりが、過去と未来が交錯している・・・」
「なぁ」


 彩香が言う。


「今まで使わなかったあたしの口座にある金、全部渡すからさぁ、今すぐ占ってくれよ。田崎っつうハゲがどこに居るのか」


 ジョージが彩香に何かを言おうとしたが、彩香は素早くジョージの口元に手を当ててそれを静止する。
 雛子はヴェールの奥の瞳を少しだけ伏せると、ふっと笑った。


「お前は占いなど、信じないのではなかったのか?」
「困った時の神頼みって言うだろ。仕方ねぇからあんたに頼んでるんだよ」


 ニヤリと笑って、彩香は言い返す。
 雛子はふと、天を仰いで。


「残念だがーー今は何も見えない」
「何だよそれ」
「俺が今見ようとしてるのは、それが美和に関する事だからだ。言っただろう、身内にこの力は使えない、と」
「じゃあやっぱり、隼人が言ってたのは外れてねぇんだな」


 美和が言ってた『あの人』というのが、田崎の事だと。
 彩香は雛子に近付くと、その両肩を掴む。


「時間がねぇんだよ。田崎は何処だ?」
「何故お前がそんなに焦っているのか、それなら占えるんだがな」
「余計な事は言わなくていいんだよ!」
「おい彩香」


 ジョージが雛子と彩香の間に割って入る。


「どうしたんだよお前、さっきからーー!」
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