TRIGGER!2
 案の定、ジョージの動きを追うように左側から狙いを付けている敵を見つけてそれを仕留め。
 そうしている間にも、頭の中で彩香とジョージに起こったであろう出来事を想像して。
 考えれば考える程、思わしくない状況が頭に浮かぶ。


「あと、六人だな・・・」


 言いながらこっちに戻ってきたジョージの足取りが、心なしか覚束ない。


「六人?」
「敵の戦力だ。彩香が言うには30人だそうだ」


 ジョージと彩香の2人だけで、この人数を片付けたのか。
 だがジョージの傷も、見た目よりも遥かに深い。
 それと、この一帯にいる黒ずくめの連中も全て、片付いたらしい。
 辺りを探るが、もう何処からも襲っては来ない。
 となると、残りの六人はこの“スターダスト”の中に居るのか、それとも水島を狙いにマンションに行ったか。
 クライアントである田崎を独りにしておく訳がないから、マンションを襲うとしてもせいぜい二・三人だろう。
 どっちにしろ、マンションに残る連中だけで守りきれない人数ではない。
 そこまで考えた時、ジョージは“スターダスト”のドアを開けた。


「全く・・・何処までも似てる親子だな」


 そう言って、風間は軽く溜め息をつく。
 あの時も、峯口は何の作戦も立てずに、敵が待っている店の中に、真正面から飛び込んで行った。
 仕方なく後を追おうとした、視界の片隅。
 風間はふと足を止めた。
 通りの向こう、人の流れに逆らうように、誰かがフラフラとこっちに向かって歩いてくる。


「彩香・・・!!」


 そこには、片足を引きずるようにしてこっちに歩いてくる彩香の姿があった。
 慌てて彩香に駆け寄り、風間はその身体を支えた。
 左の肩と、右足の太ももに銃創。
 肩の出血は止まりかけているようだが、足の傷からはまだ大量の血が流れていた。


「じっとして下さい」


 風間は彩香の前にしゃがむと、ポケットからハンカチを取り出して太ももにきつく巻き付ける。


「これで少しはーー」


 出血も治まるだろう、と言いかけて。
 風間は彩香の顔を見上げ、何も言えなくなる。
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