TRIGGER!2
まさか。
一番、最悪な事が起きたのか。
「ホントかよ・・・」
呆然と、ジョージが呟く。
友香は口元に手を当てて彩香を見つめ。
桜子は必死で彩香に呼び掛ける。
だがそれでも、彩香は反応しなかった。
「この子が飲んだのは多分、量産された方の薬よ。あたしは陽介ちゃんに頼まれた時しか作らないもの」
「それはやはり、この街に来てからの記憶を無くしたと言うことですか・・・?」
風間の質問に、水島は頷く。
「体質にもよるけど、効き目にそれほど誤差はないわ」
「だが、彩香はここに来ただろう」
雛子が口を開く。
「本当に記憶を無くしたと言うのなら、そのままこの街から出て行く筈だ。自分が元々いた場所に帰る為にな。だから彩香は、完璧に記憶を無くした訳ではない」
「それはないわ」
水島は雛子の言葉を、すぐに否定した。
「この薬はね、脳の中にある記憶を伝達する神経に直接作用するのよ。だから薬を飲んでもまだ記憶があるなんて有り得ない。これから何ヶ月か経って、徐々に記憶を取り戻す事はあってもね」
「じゃあ何故彩香はここに来た? この件に決着を付ける為だろう」
「知らないわ。偶然この方向に歩いてきただけかも知れないじゃない」
「そんな事はない」
尚も食い下がる雛子。
確かに医学的見地からすると有り得ない事なのかも知れないが。
世の中には、知識だけでは説明がつかない事など、いくらでもあるのだ。
そしてそれは。
「・・・・・?」
風間はふと、視界の片隅になびく、真っ赤なドレスの裾に気が付いた。
そしてそこに立っている女を見て。
「美和?」
風間の呟きに、みんなは振り返る。
“スターダスト”の裏手に回る細い路地に隠れるようにして、赤いドレスを着た女が立っていた。
一瞬、本物かと思ったが。
「お前かよ」
首もとのホクロを見て、ジョージはほっとしたような、少し残念がるような、複雑な表情を浮かべた。
だが美和の格好をしたホクロは、まるで、こっちに来いとでも言うように、小さく手招きをしている。
一番、最悪な事が起きたのか。
「ホントかよ・・・」
呆然と、ジョージが呟く。
友香は口元に手を当てて彩香を見つめ。
桜子は必死で彩香に呼び掛ける。
だがそれでも、彩香は反応しなかった。
「この子が飲んだのは多分、量産された方の薬よ。あたしは陽介ちゃんに頼まれた時しか作らないもの」
「それはやはり、この街に来てからの記憶を無くしたと言うことですか・・・?」
風間の質問に、水島は頷く。
「体質にもよるけど、効き目にそれほど誤差はないわ」
「だが、彩香はここに来ただろう」
雛子が口を開く。
「本当に記憶を無くしたと言うのなら、そのままこの街から出て行く筈だ。自分が元々いた場所に帰る為にな。だから彩香は、完璧に記憶を無くした訳ではない」
「それはないわ」
水島は雛子の言葉を、すぐに否定した。
「この薬はね、脳の中にある記憶を伝達する神経に直接作用するのよ。だから薬を飲んでもまだ記憶があるなんて有り得ない。これから何ヶ月か経って、徐々に記憶を取り戻す事はあってもね」
「じゃあ何故彩香はここに来た? この件に決着を付ける為だろう」
「知らないわ。偶然この方向に歩いてきただけかも知れないじゃない」
「そんな事はない」
尚も食い下がる雛子。
確かに医学的見地からすると有り得ない事なのかも知れないが。
世の中には、知識だけでは説明がつかない事など、いくらでもあるのだ。
そしてそれは。
「・・・・・?」
風間はふと、視界の片隅になびく、真っ赤なドレスの裾に気が付いた。
そしてそこに立っている女を見て。
「美和?」
風間の呟きに、みんなは振り返る。
“スターダスト”の裏手に回る細い路地に隠れるようにして、赤いドレスを着た女が立っていた。
一瞬、本物かと思ったが。
「お前かよ」
首もとのホクロを見て、ジョージはほっとしたような、少し残念がるような、複雑な表情を浮かべた。
だが美和の格好をしたホクロは、まるで、こっちに来いとでも言うように、小さく手招きをしている。