TRIGGER!2
「・・・負け、だと?」
「そうだ。あんたは色んなミスを犯したけど・・・一番の間違いは」
彩香がそう言った時、フロアに新しい人影が見えた。
「一番の間違いは、我々の意志に背く行動を取った事だよ、田崎さん」
明かりに照らされて姿を現したのは、真っ黒いスーツに身を包んだ背の高い男だった。
「あら、あの人・・・ドリームコーポレーションで見たわ」
水島がそう呟き、ジョージと風間も表情を固くしてその男を見つめる。
彩香と水島がドリームコーポレーションから出て来る時に、出口は右だと教えてくれた。
田崎はもう、男の姿を見た途端に、その場に座り込んでいる。
まるで全てを諦めたかのように目は虚ろで、口は半開きのままだ。
黒いスーツの男は、水島に視線を送る。
「あの時はどうも、水島先生。貴重な資料をたくさん頂きました」
普通に話をしているだけのようだが、全く微塵の隙もない。
ずっと集中している筈なのに、黒ずくめ達は最初から変わらずにこちら側全員に狙いを付けている。
さっきの風間のように少しでも動こうものなら、どこから弾丸が飛んでくるか分からない。
だがどうにかして、この膠着状態を解かなければならない。
いきなり現れたこの黒スーツ。
この男が危険だという事は、ジョージも風間も一瞬で理解していた。
「やめなさい。君たちの前に、あの男を始末しなければならないからね」
じり、と動いたジョージに、黒スーツが見向きもせずに声をかける。
あまりの緊張感に、風間も桜子たちも、動く事が出来ない。
「もう一つ、個人的に面白くない事があるんだよ、田崎さん。あなたは彼女に銃を向けた」
彼女。
どうやらそれは、彩香の事を指しているらしい。
彩香は黒スーツに背を向ける形で立っているから、その表情は見えないが。
「彼女はこちらには不可欠な存在なのでね。来なさい、“トリガー”」
ピクリと、彩香の背中が強張った。
そしてゆっくりと振り返ると、彩香は黒スーツに向かって歩き出す。
「彩香・・・ダメよ、行っちゃダメ!」
桜子が悲鳴のような声を上げる。
フロアの入り口付近にいた黒ずくめが、彩香の方に向かって銃を構えるのが見えた。
だが次の瞬間、男は銃を撃つ。
彩香の頬に、スッと一筋の血が流れた。
男が放った弾丸は、彩香の頬をかすめて田崎の額に命中した。
声もなく、田崎はそのまま動かなくなる。
「そうだ。あんたは色んなミスを犯したけど・・・一番の間違いは」
彩香がそう言った時、フロアに新しい人影が見えた。
「一番の間違いは、我々の意志に背く行動を取った事だよ、田崎さん」
明かりに照らされて姿を現したのは、真っ黒いスーツに身を包んだ背の高い男だった。
「あら、あの人・・・ドリームコーポレーションで見たわ」
水島がそう呟き、ジョージと風間も表情を固くしてその男を見つめる。
彩香と水島がドリームコーポレーションから出て来る時に、出口は右だと教えてくれた。
田崎はもう、男の姿を見た途端に、その場に座り込んでいる。
まるで全てを諦めたかのように目は虚ろで、口は半開きのままだ。
黒いスーツの男は、水島に視線を送る。
「あの時はどうも、水島先生。貴重な資料をたくさん頂きました」
普通に話をしているだけのようだが、全く微塵の隙もない。
ずっと集中している筈なのに、黒ずくめ達は最初から変わらずにこちら側全員に狙いを付けている。
さっきの風間のように少しでも動こうものなら、どこから弾丸が飛んでくるか分からない。
だがどうにかして、この膠着状態を解かなければならない。
いきなり現れたこの黒スーツ。
この男が危険だという事は、ジョージも風間も一瞬で理解していた。
「やめなさい。君たちの前に、あの男を始末しなければならないからね」
じり、と動いたジョージに、黒スーツが見向きもせずに声をかける。
あまりの緊張感に、風間も桜子たちも、動く事が出来ない。
「もう一つ、個人的に面白くない事があるんだよ、田崎さん。あなたは彼女に銃を向けた」
彼女。
どうやらそれは、彩香の事を指しているらしい。
彩香は黒スーツに背を向ける形で立っているから、その表情は見えないが。
「彼女はこちらには不可欠な存在なのでね。来なさい、“トリガー”」
ピクリと、彩香の背中が強張った。
そしてゆっくりと振り返ると、彩香は黒スーツに向かって歩き出す。
「彩香・・・ダメよ、行っちゃダメ!」
桜子が悲鳴のような声を上げる。
フロアの入り口付近にいた黒ずくめが、彩香の方に向かって銃を構えるのが見えた。
だが次の瞬間、男は銃を撃つ。
彩香の頬に、スッと一筋の血が流れた。
男が放った弾丸は、彩香の頬をかすめて田崎の額に命中した。
声もなく、田崎はそのまま動かなくなる。