TRIGGER!2
エピローグ
エピローグ






 満天の星空が、頭上を煌びやかに彩っていた。

 寄せては返す波の音と、潮風の香り。

 口にくわえたタバコの煙が、そよ風になびいている。

 ずっとここに立っているのだが、時間の流れはゆっくりでもあり、とてつもなく速くも感じていた。

 頭上の星々が瞬間、瞬間にその色を変え、変則的に瞬くように。

 自分が住む街では、今夜はいつもよりももっと様々な事が起きているのだろう。

 だがそれも、毎日同じように繰り返される、取るに足りない出来事の1つでしかない。

 それだけ、この世界は大きい。

 それに比べたら自分に起きた出来事など、砂粒1つの大きさでもない。

 峯口は、足元の砂を一掴みして、手のひらを広げてみた。

 指からこぼれ落ち、風に流されていく砂粒。

 その時、海岸線の道路沿いに一台の車が停まった。


「私用でパトカー、使うなよ」


 苦笑しながら、峯口は呟いて。

 そこから降りてきた1人の人物に、視線を送る。

 パトカーはそのまま走り去って行った。


「・・・よぉ」


 ゆっくりとこっちに歩いてくるその人物に、峯口は軽く手を上げる。

 彼女は何も答えずに、峯口の目の前で立ち止まった。

 月明かりに微かにみえる、その顔は。

 初めて見る、彼女の本当の顔だった。


「・・・約束、覚えてたんだな」


 峯口は言った。

 彼女は、ともすると波音にもかき消されそうな小さな声で答える。


「約束なんて覚えていない。だけど・・・」


 そう言うと、海の方を見つめて。


「あたしはここに来なきゃいけない、それは覚えてた」

「そうか」


 目を伏せて、峯口は言った。


「出来れば俺の方が忘れたかったぜ、こんな約束」


 そう言って、峯口はスーツのジャケットの内側に手を入れると、銃を取り出した。

 それをゆっくりと持ち上げると、真っ直ぐに彼女に向けて。
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