TRIGGER!2
と言うことは、風間は今朝あっちの世界から帰ってきて直ぐに出掛け、それから帰ってきていないという事だ。
しかも、誰にも何も言わずに。
『彩香?』
峯口が聞く。
今日の仕事は彩香が無理やり付いていったのだから、峯口はそれを知らない筈だ。
「あ、あぁ・・・部屋には居ないみたいだね」
そうか、と峯口は言って。
『あのな。彩香にだから言うけどな』
この男にしてみれば、珍しく神妙な口調だった。
その間も、彩香の頭の中で色々な考えがグルグルと渦巻いている。
その中には、雛子が言った言葉が、まるでドロドロした生き物のように渦を巻いていて。
過去の亡霊に捕らわれるなーーー。
あれは、風間に向けた言葉だったのかも知れない。
『俺のオフィスのパソコン、どうやら盗まれたらしい』
「なんだよ、それ・・・」
今朝からの一連の出来事で頭がいっぱいなのに、これ以上余計なゴタゴタに巻き込まれるのか。
ショート寸前の彩香には気付かない峯口。
『でもな。あれにはロックがかかっているから、俺のパソコンを開けるのは、パスワードを知っている俺ともう1人だけなんだ』
「それが、隼人だってのか?」
『ご名答。もひとつついでに言うとな、日曜日の誰もいない俺のオフィスに自由に出入り出来るのも、風間だけだ』
どうしてこうも完璧に疑われるような状況を、風間は作っているのだろう。
いつでも冷静で慎重な風間には有り得ない事がたくさん起きすぎている。
あの女を見たときの狼狽えよう、峯口のオフィスのパソコン、そして報告も無しに姿を消していること。
『参ったねぇ』
電話の向こうで、峯口がライターに火を点ける気配がする。
過去の亡霊。
生きている者は交わる事のない、あっちの世界。
今朝の一件で、佐久間とスキンヘッドは間違いなく実体だった。
だとすると、唯一、実体だと確認していないのは。
「あの女か」
彩香は呟いた。
しかも、誰にも何も言わずに。
『彩香?』
峯口が聞く。
今日の仕事は彩香が無理やり付いていったのだから、峯口はそれを知らない筈だ。
「あ、あぁ・・・部屋には居ないみたいだね」
そうか、と峯口は言って。
『あのな。彩香にだから言うけどな』
この男にしてみれば、珍しく神妙な口調だった。
その間も、彩香の頭の中で色々な考えがグルグルと渦巻いている。
その中には、雛子が言った言葉が、まるでドロドロした生き物のように渦を巻いていて。
過去の亡霊に捕らわれるなーーー。
あれは、風間に向けた言葉だったのかも知れない。
『俺のオフィスのパソコン、どうやら盗まれたらしい』
「なんだよ、それ・・・」
今朝からの一連の出来事で頭がいっぱいなのに、これ以上余計なゴタゴタに巻き込まれるのか。
ショート寸前の彩香には気付かない峯口。
『でもな。あれにはロックがかかっているから、俺のパソコンを開けるのは、パスワードを知っている俺ともう1人だけなんだ』
「それが、隼人だってのか?」
『ご名答。もひとつついでに言うとな、日曜日の誰もいない俺のオフィスに自由に出入り出来るのも、風間だけだ』
どうしてこうも完璧に疑われるような状況を、風間は作っているのだろう。
いつでも冷静で慎重な風間には有り得ない事がたくさん起きすぎている。
あの女を見たときの狼狽えよう、峯口のオフィスのパソコン、そして報告も無しに姿を消していること。
『参ったねぇ』
電話の向こうで、峯口がライターに火を点ける気配がする。
過去の亡霊。
生きている者は交わる事のない、あっちの世界。
今朝の一件で、佐久間とスキンヘッドは間違いなく実体だった。
だとすると、唯一、実体だと確認していないのは。
「あの女か」
彩香は呟いた。