TRIGGER!2
2人を一度に相手にするのはいいが、足場が悪く、思うように動けない。
それに、このマンションだけを停電にする行動といい、水島をさらってくる手際といい、拳を繰り出すこの2人の動きといい。
相手はそれなりの技術と訓練を積んだ連中だ。
「だぁから!」
手の甲で相手の蹴りを弾きながら、彩香はボヤく。
記憶を無くすとか言う薄気味悪い薬を開発する、あのワケの分からない医者が居なくなったところで、彩香には何の問題もないのだが。
ふとそんな事を思い、一瞬だけ、気が緩んだ。
その隙に、男のパンチが彩香の顔にヒットした。
「!!」
重いパンチは彩香の身体ごと弾き飛ばし、非常階段の手摺りに強かに腹をぶつけてしまう。
「へぇ・・・」
彩香のこめかみが、ピクリと動いた。
そのままの体勢から、全体重を乗せた後方回し蹴りを繰り出して。
男の1人が、転がるように階段を落ちて行った。
「誰に向かって一発くれてんだよ」
唇の端を手の甲で拭いながら、彩香は落ちた男を見下ろした。
残りの1人がまた、こっちに向かって来る。
だが、こうしている間にも水島を連れた男は、道路に停めてある車に乗り込もうとしていた。
別に助けようとしている訳ではないのだが。
自分に一発くれたこいつらの思い通りになるのだけは、許せなかった。
だが、間に合わない。
その時。
「彩香ぁ!」
下からだみ声が聞こえた。
確認しなくても分かる、“AGORA”のイチゴだ。
間髪入れずに、彩香は下に向かって叫ぶ。
「止めろ!!」
「任せてっ!!」
いくらフリフリレースのワンピースを着ていても、イチゴはがっちり体型の男だ。
それに、あの連中は3人セットだ、ここからは見えないが、近くにキウイとグレープも居るはず。
相手がいくら手練れでも、足止めくらいは何とかなる。
これで、少しは余裕が出来た。
「諦めろ。どうせ誰かに雇われたんだろ?」
ひっきりなしに仕掛けて来る攻撃を避けながら、彩香は言った。
だがその時。
パンパン、と、何かが弾けるような音がした。
続けて、キウイの悲鳴が。
気を取られたその瞬間、腹に強烈な蹴りを食らう。
「・・・っ!!」
息が止まり、身体をくの字に折り曲げる彩香。
その隙に、男が階段を駆け降りた。
「ちっ・・・くしょ」
腹を押さえて起き上がる。
それに、このマンションだけを停電にする行動といい、水島をさらってくる手際といい、拳を繰り出すこの2人の動きといい。
相手はそれなりの技術と訓練を積んだ連中だ。
「だぁから!」
手の甲で相手の蹴りを弾きながら、彩香はボヤく。
記憶を無くすとか言う薄気味悪い薬を開発する、あのワケの分からない医者が居なくなったところで、彩香には何の問題もないのだが。
ふとそんな事を思い、一瞬だけ、気が緩んだ。
その隙に、男のパンチが彩香の顔にヒットした。
「!!」
重いパンチは彩香の身体ごと弾き飛ばし、非常階段の手摺りに強かに腹をぶつけてしまう。
「へぇ・・・」
彩香のこめかみが、ピクリと動いた。
そのままの体勢から、全体重を乗せた後方回し蹴りを繰り出して。
男の1人が、転がるように階段を落ちて行った。
「誰に向かって一発くれてんだよ」
唇の端を手の甲で拭いながら、彩香は落ちた男を見下ろした。
残りの1人がまた、こっちに向かって来る。
だが、こうしている間にも水島を連れた男は、道路に停めてある車に乗り込もうとしていた。
別に助けようとしている訳ではないのだが。
自分に一発くれたこいつらの思い通りになるのだけは、許せなかった。
だが、間に合わない。
その時。
「彩香ぁ!」
下からだみ声が聞こえた。
確認しなくても分かる、“AGORA”のイチゴだ。
間髪入れずに、彩香は下に向かって叫ぶ。
「止めろ!!」
「任せてっ!!」
いくらフリフリレースのワンピースを着ていても、イチゴはがっちり体型の男だ。
それに、あの連中は3人セットだ、ここからは見えないが、近くにキウイとグレープも居るはず。
相手がいくら手練れでも、足止めくらいは何とかなる。
これで、少しは余裕が出来た。
「諦めろ。どうせ誰かに雇われたんだろ?」
ひっきりなしに仕掛けて来る攻撃を避けながら、彩香は言った。
だがその時。
パンパン、と、何かが弾けるような音がした。
続けて、キウイの悲鳴が。
気を取られたその瞬間、腹に強烈な蹴りを食らう。
「・・・っ!!」
息が止まり、身体をくの字に折り曲げる彩香。
その隙に、男が階段を駆け降りた。
「ちっ・・・くしょ」
腹を押さえて起き上がる。