TRIGGER!2
「もう嫌だ・・・」


 泣きそうになる彩香。
 それから直ぐに“レッドルビー”を後にして、2人は次の店に向かって歩いている。


「んで、ここが“スターダスト”か」


 本日三件目。
 ここは、比較的若い人間が集まるショーパブだ。
 中に入ると、フロア全体がキラキラの装飾で飾られていた。
 一番奥には大きなステージがあり、1日に何回かショータイムが行われる。


「いらっしゃいませ」


 店の従業員が彩香に気付くと、近づいてきた。


「お一人様ですね?」
「へ? いや連れが」


 いるんだと言おうとして振り返ると、そこに立っている筈のオヤジは居なかった。
 まさか、居なくなったのだろうか。
 彩香は、まだこの店のドアの場所を聞いてない。
 そんな事を考えている間にも、従業員は彩香を席に案内した。
 もう既に朝に近付いている時間帯なのに、店の半分くらいを若者たちが埋め尽くしている。
 むしろ、酔いも回りきったこの時間帯が一番騒がしいくらいだ。
 彩香は、店の中をぐるりと見回す。
 このフロアは密閉状態で、窓らしいものは見当たらない。
 そうなると、この店の“ドア”はさっきのようにトイレか・・・それとも、厨房か。
 ここは、ちょっとした一品も客に提供しているらしい。
 注文を聞きに来たウエイターに、彩香はウイスキーを頼む。
 程なくしてウエイターがウイスキーを持ってきた時、店の明かりが暗転した。
 びくりとして顔を上げるが、周りの若者たちは大きな歓声を上げる。
 そして、ステージをスポットライトが照らす。
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