TRIGGER!2
☆  ☆  ☆




 そして、やっと少しだけ涼しくなってきた夕方。


「全く・・・」


 右手に茶碗、左手に箸を持ちながら、風間は眉間にしわを寄せる。
 このマンションに引っ越してからいつの間にか、決して望んでいた訳ではない光景が、夕方の日常的なものになっている。
 風間は静かに箸を置いた。


「何度でも言いますが」


 話し掛けたのは、リビングの座卓の目の前に我が物顔で座っている2人に、だ。


「どうしてここにいるんですか」
「その質問には、何回も答えている筈だがなぁ」


 リビングは板張りだが、風間はわざわざ畳を買ってきて和室にしている。
 そこに大きな座布団を敷いて、片膝を立てて座っているジョージが、テレビから視線を外さずに言った。
 風間が声を掛けたもう1人、彩香は応えすらせず、テレビに夢中になっている。
 このくつろぎ方は、決して他人様の家でのそれではない。


「勝手にここに引っ越して来たのはお前だろ、隼人。結果こうなるのは分かってた筈だ」


 ジョージは言いながら、タバコをくわえた。
 これも、イライラする原因の1つだ。
 風間はジョージの口から、タバコを取り上げる。


「結果こうなるのは予想だにしてなかったし、俺はタバコを吸わないのに自分の部屋がヤニ臭くなるのには納得しない。増してやお前が飲んだビールの缶を毎日片付けるコトになるなんて、想定外もいいとこだ」


 何すんだよ、と、ジョージは風間からタバコを取り返す。


「んなもん彩香も一緒だろうが。なんで俺ばっかりに文句言うんだよ?」
「当然、俺は2人に言ってるんだ」


 そこでやっと、彩香は身体を風間に向けた。
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