TRIGGER!2
3
3
夜明け前の繁華街は、そろそろ眠りにつく時間帯だ。
煌々と灯っていたネオンも徐々に消えていく。
「最初の質問なんだけど」
少し前を歩く友香が、そう切り出した。
何故ドアの場所を知っていたのか。
「彼女が教えてくれたのよ」
「彼女って・・・ホクロの?」
彩香は自分の首もとを指で指し示しながら聞いた。
友香は頷く。
「知り合いなのか?」
「そうね・・・知ってるわ」
その答えには、少し憂いが混ざっているような気がした。
知り合いという程度の仲ではない、友香はもっと深く、ホクロの事を知っている。
彩香はそう思った。
さっき“スターダスト”のドアをくぐり抜けているのだから、ここは『あっちの世界』だ。
ごく一部の人間しか知らない、無法地帯。
だが見た目はいつもの繁華街と何も変わらない。
酔いつぶれて路肩でうずくまる者、肩を組み合って千鳥足で家路に向かう者。
店の前でホステスを口説く男。
全くいつもの光景そのままだが、これらの人間は全て、今の自分にとっては幻だ。
そしてコイツらにとっては今こうして歩いている自分こそがまやかしで、その姿は見えない。
峯口は、こんな世界が出来た時から知っていると言っていた。
「だってあたし、この世界の事はずうっと昔からから知っているもの。峯口さんがここを知る以前からね」
楽しそうに、友香は笑う。
こんな非現実的な空間を目の当たりにしているのに、ここに関わる連中は呑気に構えている。
「あんたも、この世界が出来た時に関わっていた当事者の1人なのか?」
「まぁ・・・」
大分白んで来た空を見上げて、友香は息を吐く。
その表情はどこか懐かしむような感じだった。
「あたしは・・・あたしには何も出来る事はなかったけどね。ただ、見ている事しか・・・」
「分かんねぇよ」
膝を揃えて何日も話を聞けば、半分くらいは理解出来るのだろうが、彩香には全く興味はない。
こんな世界が今、ここにある。
それが現実だ。
そして、彩香の周りにある当面の問題はそんな大それた事ではなく、峯口から与えられた仕事をこなして、あの美和とか言う女の正体を突き止める事。
これに尽きる。
夜明け前の繁華街は、そろそろ眠りにつく時間帯だ。
煌々と灯っていたネオンも徐々に消えていく。
「最初の質問なんだけど」
少し前を歩く友香が、そう切り出した。
何故ドアの場所を知っていたのか。
「彼女が教えてくれたのよ」
「彼女って・・・ホクロの?」
彩香は自分の首もとを指で指し示しながら聞いた。
友香は頷く。
「知り合いなのか?」
「そうね・・・知ってるわ」
その答えには、少し憂いが混ざっているような気がした。
知り合いという程度の仲ではない、友香はもっと深く、ホクロの事を知っている。
彩香はそう思った。
さっき“スターダスト”のドアをくぐり抜けているのだから、ここは『あっちの世界』だ。
ごく一部の人間しか知らない、無法地帯。
だが見た目はいつもの繁華街と何も変わらない。
酔いつぶれて路肩でうずくまる者、肩を組み合って千鳥足で家路に向かう者。
店の前でホステスを口説く男。
全くいつもの光景そのままだが、これらの人間は全て、今の自分にとっては幻だ。
そしてコイツらにとっては今こうして歩いている自分こそがまやかしで、その姿は見えない。
峯口は、こんな世界が出来た時から知っていると言っていた。
「だってあたし、この世界の事はずうっと昔からから知っているもの。峯口さんがここを知る以前からね」
楽しそうに、友香は笑う。
こんな非現実的な空間を目の当たりにしているのに、ここに関わる連中は呑気に構えている。
「あんたも、この世界が出来た時に関わっていた当事者の1人なのか?」
「まぁ・・・」
大分白んで来た空を見上げて、友香は息を吐く。
その表情はどこか懐かしむような感じだった。
「あたしは・・・あたしには何も出来る事はなかったけどね。ただ、見ている事しか・・・」
「分かんねぇよ」
膝を揃えて何日も話を聞けば、半分くらいは理解出来るのだろうが、彩香には全く興味はない。
こんな世界が今、ここにある。
それが現実だ。
そして、彩香の周りにある当面の問題はそんな大それた事ではなく、峯口から与えられた仕事をこなして、あの美和とか言う女の正体を突き止める事。
これに尽きる。