TRIGGER!2
「じゃあ彼女はあなたの事を気に入ったのね。昔からあんまり他人と関わりたがらない人だから」
「こっちは仲良くなりたいなんて少しも思っちゃいねぇけどな」


 ビルとビルの間を自由自在に飛び回る、そんな怪しい人間と関わるのはこっちからごめん被りたい。


「悪い人じゃないわよ。今度会ったら、友達になっちゃえば?」


 一体どこからそんな考えが湧き出て来るのか、彩香にはさっぱり分からない。
 仏頂面で腕組みをする彩香を見てひとしきり笑ってから、友香は思い出したように言った。


「ドアと言えば、他の場所はどうだった?」


 峯口がドアを確認する場所を書いたメモを彩香に渡したのは、この友香の店だ。


「しっかりと盗み見てんじゃねぇよ。喋れねぇのをいいことに」
「人聞きの悪い事言わないでよ。ドアの確認は峯口さんからちゃんと聞いたわよ。彩香ちゃんがぶっ倒れた後にね」


 それを聞いて、彩香ははっとする。
 徹夜明けで疲れがピークだった彩香は、友香の店で意識を失った。


「峯口さん、喜んでたわよ。眠っている彩香ちゃんを抱えて『こぉんな素直で可愛い彩香、初めて見たぜ』とか言っちゃって」
「・・・あんの・・・エロオヤジ・・・」


 わなわなと震える彩香。


「まぁまぁ、そんなに照れなくてもいいでしょ。誰だって眠っているときは無防備で可愛いんだから」


 けらけらと笑いながら、友香は彩香の肩をぽんぽん、と叩く。
 うるせぇよ、と彩香はそんな友香の手を振り払い。


「何であんたがドアの確認なんて気にするんだよ。この世界に関しては傍観者でいるんじゃなかったのかよ」
「そうなんだけど」


 腕組みをして、友香は困ったような表情を見せる。
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