TRIGGER!2
「なぁんだ、もう片付けたのか?」
不意にそんな声が聞こえ、峯口が店に入ってきた。
その後ろから続々と警察官がやってきて、男達を次々に連れて行く。
「社長! もっ・・・申し訳ありません!」
峯口の姿を見た途端、秋田は深々と頭を下げた。
いつもの秋田に戻ったな、と、彩香は苦笑する。
峯口はスーツのジャケットを肩に掛けたまま、喉が渇いたとホステスに酒を頼んで、秋田に向き直る。
「怪我人は?」
「いえ、幸いな事に、お客様にも従業員にも怪我人は出ていません」
「そうか。なら秋田、お前だけだな」
峯口に言われて、秋田は思い出したように顔を上げた。
「あぁこれは・・・大した事はないです、大丈夫です」
「一応大事を取って、明日病院に行っとけ」
「・・・分かりました」
「つか、どうしてあんたが警察と一緒にここに来るんだよ?」
彩香が言った。
「ん? ちょいと高田の爺さんとこに居たからな、ついでに送って貰った」
パトカーをタクシー代わりに使うんじゃねぇよ、とジョージが突っ込みを入れる。
峯口は笑って。
「図体デカいくせに細かい事を気にするんじゃねぇよ、ジョージ。ま、お前たちがいて丁度良かった。ちょいと話があるんだが」
「社長、VIPルームは今、使えません」
えー何で? という峯口に、秋田が説明をしている。
「そっかぁ、今日は“AGORA”も休みだしなぁ、ここも使えないとなると・・・どこ行こうか」
「話ならここですりゃいいだろうが」
「こんな状況じゃ落ち着かねぇだろ?」
「いや“AGORA”に行こうとしてる時点で落ち着こうとしてねぇだろ!」
「ホント細かいなお前」
そう言えば、仲が悪いと言うこの親子が一緒にいる所を、初めて見たような気がする。
こんなやり取りを見る限り、ジョージが言うほど仲が悪いとは思えないのだが。
「社長、スタッフルームで良ければ使って下さい」
そう言う秋田の提案に賛成して、峯口はウイスキーのグラスを受け取るとジョージを促す。
「ほら彩香、行くぞ」
座っている彩香を振り返りジョージは声を掛けるが、彩香にはそれがどこか遠くに聞こえた。
「彩香?」
様子がおかしい事に気付いた峯口も、どうしたんだと聞いて。
(・・・あれ?)
ジョージが彩香の顔を覗き込む。
「大丈夫かよ?」
「おい、具合でも悪いのか」
何か話し掛けられているような気がするのだが、何を言っているのか分からない。
だが取り敢えず立ち上がろうとして、目がくらんだ。
足に力が入らない。
視界がだんだん狭まり、完全に暗闇に落ちようとする瞬間に身体が持ち上げられたのを、彩香は感じていた。
不意にそんな声が聞こえ、峯口が店に入ってきた。
その後ろから続々と警察官がやってきて、男達を次々に連れて行く。
「社長! もっ・・・申し訳ありません!」
峯口の姿を見た途端、秋田は深々と頭を下げた。
いつもの秋田に戻ったな、と、彩香は苦笑する。
峯口はスーツのジャケットを肩に掛けたまま、喉が渇いたとホステスに酒を頼んで、秋田に向き直る。
「怪我人は?」
「いえ、幸いな事に、お客様にも従業員にも怪我人は出ていません」
「そうか。なら秋田、お前だけだな」
峯口に言われて、秋田は思い出したように顔を上げた。
「あぁこれは・・・大した事はないです、大丈夫です」
「一応大事を取って、明日病院に行っとけ」
「・・・分かりました」
「つか、どうしてあんたが警察と一緒にここに来るんだよ?」
彩香が言った。
「ん? ちょいと高田の爺さんとこに居たからな、ついでに送って貰った」
パトカーをタクシー代わりに使うんじゃねぇよ、とジョージが突っ込みを入れる。
峯口は笑って。
「図体デカいくせに細かい事を気にするんじゃねぇよ、ジョージ。ま、お前たちがいて丁度良かった。ちょいと話があるんだが」
「社長、VIPルームは今、使えません」
えー何で? という峯口に、秋田が説明をしている。
「そっかぁ、今日は“AGORA”も休みだしなぁ、ここも使えないとなると・・・どこ行こうか」
「話ならここですりゃいいだろうが」
「こんな状況じゃ落ち着かねぇだろ?」
「いや“AGORA”に行こうとしてる時点で落ち着こうとしてねぇだろ!」
「ホント細かいなお前」
そう言えば、仲が悪いと言うこの親子が一緒にいる所を、初めて見たような気がする。
こんなやり取りを見る限り、ジョージが言うほど仲が悪いとは思えないのだが。
「社長、スタッフルームで良ければ使って下さい」
そう言う秋田の提案に賛成して、峯口はウイスキーのグラスを受け取るとジョージを促す。
「ほら彩香、行くぞ」
座っている彩香を振り返りジョージは声を掛けるが、彩香にはそれがどこか遠くに聞こえた。
「彩香?」
様子がおかしい事に気付いた峯口も、どうしたんだと聞いて。
(・・・あれ?)
ジョージが彩香の顔を覗き込む。
「大丈夫かよ?」
「おい、具合でも悪いのか」
何か話し掛けられているような気がするのだが、何を言っているのか分からない。
だが取り敢えず立ち上がろうとして、目がくらんだ。
足に力が入らない。
視界がだんだん狭まり、完全に暗闇に落ちようとする瞬間に身体が持ち上げられたのを、彩香は感じていた。