TRIGGER!2
 風間は黙っているが、それは肯定の意味だ。


「あー俺はパスだ。彩香、そろそろAGORA行くぞ」


 首をコキコキと鳴らしながら、ジョージは立ち上がる。


「なんだよその確認って?」
「子供のお使い以下の仕事ですから、彩香さんもご心配なく」


 風間はもとより、ジョージまで理解しているらしいのが、彩香には気に入らなかった。


「あたしも行く!」
「やめとけ彩香、ホントに大したことねぇよ」
「そうですね。それに、彩香さん絶対に起きられないでしょうから」


 ここまで言われると、尚更引き下がれないのが彩香である。


「絶っっ対について行くからな」
「・・・そこまで言うならいいでしょう、でも朝8時に出掛けますので。一秒でも遅刻したら置いていきます」
「上等じゃねぇか」


 玄関で靴を履きながら、ジョージもからかうように言う。


「じゃ、今日のボトル争奪戦、お前は参加しねぇんだな?」
「バカ言え、今ちょうどあたしのボトルがカラなんだよ。今日を逃す訳には行かねぇよ!」


 彩香も立ち上がり、部屋を出て行ったジョージの後を慌てて追い掛ける。
 風間もジョージも、もし賭けるなら彩香が起きない方に大枚を張るだろう。
 だがそれでは賭けが成立しない。


「いいか隼人、あたしが起きたら一緒に連れて行けよ!」


 そう言い捨てて、彩香も部屋を出て行った。
 これで百パーセント、彩香が早起きするなど有り得ない。
 明日はさっさと『あっち』での仕事を済ませようと、風間は軽いため息をついて夕食の後片付けを始めた。
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