TRIGGER!2
峯口はまぁまぁ、とそんな秋田な肩に手を押いて。
「まぁ、もし壊しても俺が保障すっから」
「ダメなんです。あの子はこの世でたったひとつの宝物なんです。俺が今までどんなに可愛がってきたか・・・」
「お前なぁ。彼女との別れでもあるまいし」
「彼女以上ですよ! あぁ、せめて貸すのが彩香さんじゃなければこんな気持ちには・・・」
「何だとぉ!?」
どうやら本気で単車の心配をしている秋田。
これ以上付き合ってられない、と、彩香はスタッフルームを出て行く。
秋田は慌てて後を追いかけて。
「あぁっ! 俺も見送ります!!」
こりゃあ悪いことしたかな、と苦笑する峯口。
そして、タバコをくわえたまま、天井を仰いだ。
さっきの会話で、峯口は彩香にカマを掛けてみたのだ。
水島千絵を誘拐し、この店を襲った連中の正体は、峯口自身まだ確証が持てない、ただの噂レベルでしかない話だ。
裏の世界でも都市伝説まがいにしか思われていない組織が存在する、と。
人に限らず、建物や会社、あるいは道端に生えている草木の一本まで、この世から消えて無くなるモノには皆、その組織が絡んでいるなどと、峯口に言わせれば本当にバカげた噂でしかないのだが。
あの時彩香は、確かに言った。
殆ど唇しか動いていない、聞き取れない声だったが。
『・・・黒蛇・・・』
それは、まだあまり知られていない筈の、死に神のような組織の名前だ。
峯口はもう半分以上氷が溶けたウイスキーを飲んで、壁にもたれかかる。
どうも、やることが沢山ありすぎて身体がなかなか動かない。
「はぁぁ・・・俺も年取ったかなぁ・・・」
深いため息を、峯口は吐き出して。
よっこらしょ、と、重い腰を上げる。
スーツのポケットに両手を突っ込み、鏡に映る自分の姿を見つめて。
気を失っている間、彩香がどんな夢を見ていたのかは分からないが。
「・・・“トリガー”・・・か」
鏡の中の自分は、気付かないうちにこんな言葉を呟いてしまう。
怒っているような、怯えているような複雑な顔をして。
そんな姿から目を逸らすと、峯口は静かに部屋を出て行った。
「まぁ、もし壊しても俺が保障すっから」
「ダメなんです。あの子はこの世でたったひとつの宝物なんです。俺が今までどんなに可愛がってきたか・・・」
「お前なぁ。彼女との別れでもあるまいし」
「彼女以上ですよ! あぁ、せめて貸すのが彩香さんじゃなければこんな気持ちには・・・」
「何だとぉ!?」
どうやら本気で単車の心配をしている秋田。
これ以上付き合ってられない、と、彩香はスタッフルームを出て行く。
秋田は慌てて後を追いかけて。
「あぁっ! 俺も見送ります!!」
こりゃあ悪いことしたかな、と苦笑する峯口。
そして、タバコをくわえたまま、天井を仰いだ。
さっきの会話で、峯口は彩香にカマを掛けてみたのだ。
水島千絵を誘拐し、この店を襲った連中の正体は、峯口自身まだ確証が持てない、ただの噂レベルでしかない話だ。
裏の世界でも都市伝説まがいにしか思われていない組織が存在する、と。
人に限らず、建物や会社、あるいは道端に生えている草木の一本まで、この世から消えて無くなるモノには皆、その組織が絡んでいるなどと、峯口に言わせれば本当にバカげた噂でしかないのだが。
あの時彩香は、確かに言った。
殆ど唇しか動いていない、聞き取れない声だったが。
『・・・黒蛇・・・』
それは、まだあまり知られていない筈の、死に神のような組織の名前だ。
峯口はもう半分以上氷が溶けたウイスキーを飲んで、壁にもたれかかる。
どうも、やることが沢山ありすぎて身体がなかなか動かない。
「はぁぁ・・・俺も年取ったかなぁ・・・」
深いため息を、峯口は吐き出して。
よっこらしょ、と、重い腰を上げる。
スーツのポケットに両手を突っ込み、鏡に映る自分の姿を見つめて。
気を失っている間、彩香がどんな夢を見ていたのかは分からないが。
「・・・“トリガー”・・・か」
鏡の中の自分は、気付かないうちにこんな言葉を呟いてしまう。
怒っているような、怯えているような複雑な顔をして。
そんな姿から目を逸らすと、峯口は静かに部屋を出て行った。