TRIGGER!2
 もっと良く考えれば良かった。
 何故あのホクロのヤツが、こんな場所にいたのか。
 ここに流動型のドアがあると教えたかったのだ。
 ・・・知ってたら、絶対に通らないが。
 可愛い子供の姿に、思いっ切り騙された。
 ーーそれにしても。


「何だよこの騒々しさは」


 場所はよく特定出来ないが。
 積み木のプレハブ全体から見れば、この裏口は建物に向かって左側にあたる。
 その奥から大きな物音が断続的に聞こえていて、よく耳を澄ますと銃声も混じっているのが分かる。
 幸い、この場所には誰も居なかったが。
 この状況で暴れてる人間なんて、ジョージしか考えられない。


「ったく・・・」


 まさかこうなるとは思っていなかったから、こっちは丸腰だ。
 多分、ジョージも同じだろう。
 彩香はそれでも、ゆっくりと建物の中を進む。
 ここはもう、彩香の現実世界とは違う場所。
 だが向こうで見た時と同じで、建物には全く電気が点いてない。
 しかも廊下はなく、隣同士くっついたプレハブの壁と壁をくり抜いただけの空間は、1つの壁を越える毎に部屋が微妙にズレていたり、進む道がいくつもに分かれていたりで、どうにも進みにくい。
 彩香は物音を頼りに何部屋分か進み、その途中途中で、ここの正体を突き止める何かがないかと物色する。
 もちろん、警戒は怠らずに。
 だが騒ぎが起きているその場所もどんどん動いているらしく、右に進んだかと思えば次は左側から銃声が聞こえて来たりと、とにかく目的地が定まらない。
 既に、さっきの裏口まで戻れるかと言われたら、全くもって自信がない。
 まさかこんな場所で迷子になるとは思わなかった。
 一刻も早くジョージと合流したいような、もう少しこの立体迷路を楽しみたいような、複雑な心境だ。


「ーーん?」


 ある部屋に差し掛かった時、彩香はふと足を止めた。
 今まで通ってきた部屋の棚や机の中には、ワケの分からん数字が書いてある資料や本などがあったが。
 この部屋には、他と違う物があった。


「なぁるほど」


 何かを製造する機械が幾つか、並んでいる。
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