TRIGGER!2
「何ですか、あのはた迷惑な連中は」
「ジョージが先に来てるんだよ。あたしが来た時もうあぁやって追いかけっこしてたんだ」


 それを聞いて風間は、はぁぁっと頭を抱えて。


「ここはただの製造工場なんです。雑魚相手に無駄な体力を使うなんて・・・」
「本人に直接言えよ。それに、どーすんだ? 超近いんだけど」


 こうしている間にも、騒音はどんどん近付いて来る。
 風間は少し考え込んでから。


「武器はありますか?」
「いや。まさかこんな事になるとは思ってなかったからな、丸腰だ」


 多分ジョージもだよ、と、彩香は付け加えた。
 そこへ、水島が口を挟む。
 

「お取り込み中悪いんですけどぉ・・・」
「テメェは黙ってろ」
「早く研究室に行きたいんだけど、何だか足が疲れちゃって、もう動けないの」
「ふざけんな! どんだけ体力ねぇんだよお前ぇ!!」


 そう言って床にしゃがみ込んだ水島を思わず殴ろうとした彩香を、風間は止める。


「分かりました、ジョージと合流しましょう」
「アイツなら大丈夫だろ?」
「確かにそうですが、水島先生が自発的に動けない以上、彩香さんが彼女を抱えて逃げるのは無理があります。でもジョージなら、先生一人抱えて走るくらい何て事ありません」


 風間の言う事は分かるが、そのジョージは今頃、大量の黒ずくめ集団を引き連れてこっちに向かっているのだ。
 何人いるのか分からないが、そいつらを相手にする方が分が悪いのではないか。


「大丈夫です」


 再び銃を取り出して、風間は不敵な笑みを浮かべた。


「私がフォローします。彩香さん、思いっ切り暴れて下さい」


 佐久間クリニックから帰って来てから、今まで勝手に1人で行動していた風間。
 心の奥底では、そんな風間に少しだけ失望していた。
 どうして自分に一言でも相談してくれないのか。
 どうして黙って姿を消したりしたのか。
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