ハッピー☆ラッキー
真っ先に頭に浮かんだのが寛貴。
誰のせいで千尋と気まずくなったと思ってるのよ!!!!
雑念を払うように頭を振り、思いきり手を伸ばした。
届かない。
届くわけがない。
目一杯手を伸ばしても、指にだってかすりもしない。
165センチってそんなに小さい方じゃないのに……
何だか巨人の国に迷い込んだ小人のように思えてくる。
こうなったら最後の手段、
昔取った杵柄で脚力だけは無駄にある。
足りない身長はジャンプで補えばいい。
「よしっ!」
体を屈めて飛び上がろうとしたその時、
「数学の問題集?これでいいの?」
へっ!?
若い男性の声がし、背後から手が伸びて、いとも簡単に参考書を取り出した。
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