ハッピー☆ラッキー



千鶴さんは私を見た瞬間、大きく目を見開いて、


「ちょっとあなた!!!!」


ものすごい剣幕でこちらに近づいてくると、


パシッ!!!!


鋭い平手打ちの音が鼓膜に響き、左頬に痛みが走った。


「どうした?喧嘩?」


「あれ、2組の福山さんよ」


「何で福山がやられてんだよ?」


「誰か、先生呼んで来い!!!!」


騒然とする周囲。


わたしは訳がわからず左頬を手で押さえたまま、茫然と彼女を見つめた。


「な……何するんですか?」


ようやく出た言葉に、千鶴は眉を吊り上げ、


「泥棒猫!!!!私の彼氏、盗らないでよ!!!!」


そう言うと、わたしの両肩を掴んで強く揺さぶった。


ど、泥棒猫!?


か、彼氏!?


彼氏……


「あ……」


思い出した。


千鶴さんは、あの時ケイくんと一緒にラッキーを散歩させていた女の子。


わたし、知らないうちに彼女のこと、傷つけちゃったみたい。



.
< 123 / 275 >

この作品をシェア

pagetop