ハッピー☆ラッキー
千鶴さんは私を見た瞬間、大きく目を見開いて、
「ちょっとあなた!!!!」
ものすごい剣幕でこちらに近づいてくると、
パシッ!!!!
鋭い平手打ちの音が鼓膜に響き、左頬に痛みが走った。
「どうした?喧嘩?」
「あれ、2組の福山さんよ」
「何で福山がやられてんだよ?」
「誰か、先生呼んで来い!!!!」
騒然とする周囲。
わたしは訳がわからず左頬を手で押さえたまま、茫然と彼女を見つめた。
「な……何するんですか?」
ようやく出た言葉に、千鶴は眉を吊り上げ、
「泥棒猫!!!!私の彼氏、盗らないでよ!!!!」
そう言うと、わたしの両肩を掴んで強く揺さぶった。
ど、泥棒猫!?
か、彼氏!?
彼氏……
「あ……」
思い出した。
千鶴さんは、あの時ケイくんと一緒にラッキーを散歩させていた女の子。
わたし、知らないうちに彼女のこと、傷つけちゃったみたい。
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