ハッピー☆ラッキー



お兄ちゃんは、というと、


当たり前のようにインターハイを制し、日本バレー界次期エースと期待の声がますます高まった。


それでもお兄ちゃんは、


「まだまだ世界のレベルにはほど遠い」


と、現状に満足することはなかった。


満足するのは恐らく、


オリンピックで金メダルを獲った時。


その時初めて、自分を労ってあげるのだろう。


「ナナも悔しさをバネに頑張れよ。来年こそ全国制覇だ」


全国大会に出場したわたしは、善戦するも、準決勝敗退。


決勝には届かなかった。


悔しい……


来年こそは頂点に立ってみせる。


バレー部での練習以外に自宅での練習量も増やした。


もちろん勉強だって……


筋金入りの歯医者嫌いのお兄ちゃんに代わってわたしが歯科医院を継ぐことは幼い頃から暗黙のうちに決まっていた。


成績が下がったらバレーは辞める。


バレーを始めた頃からそう決めていた。



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