ハッピー☆ラッキー



「ふふっ、わたしとしたことが……」


まぁ、恋愛オンチのわたしが初めて異性にときめきを持てたんだから、それだけでもいい収穫なのかもしれない。


受験地獄を乗り越えたら楽しい学生生活。


素敵な恋が待っている……


そう自分に言い聞かせた。


もうこんなことうだうだ考えていても仕方がない。


あれ以来、千尋からは何の連絡もない。


亜子の話では、寛貴が駅前で千尋に土下座をし、猛烈に謝って元サヤに治まったらしいが、


寛貴らしい確信犯的なパフォーマンスは、わたしには不快でしかない。


だけど、誰かを好きになることは理屈でも道理でもないということがようやくわかったような気がする。


どんなに傷つけられ、裏切られても、千尋は寛貴のことが本気で好きなんだ。


十人十色は恋も同じ。


それぞれに違うスタイルがある。


わたしには全く受け入れられないけれど、千尋にとっては幸せなのかもしれない。



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