ハッピー☆ラッキー
「全く、シスコン兄貴にも困ったものね」
呆れた様子で千鶴さんが大きく息を吐いた。
「私と海翔は高校時代の同級生なの。
彼に一目惚れした私は3年間何度もアプローチしたのよ、なのに、アイツってば全く脈ナシで……だけど、お姉ちゃんなら許してもいいかなと思うんだ。
でもね、いつか後悔させてやるわ。お姉ちゃんより私を選んだ方が良かったと後悔するくらいいい女になってやるわ」
本当の千鶴さんは強さだけじゃなくて、優しさも兼ね備えた素敵な人なのかもしれない。
「ナナさん、ごめんなさいね。あなたのことを海翔の浮気相手だと勘違いしちゃって……」
千鶴さんは立ち上がって深々と頭を下げた。
「もういいんです。事情がわかったし……でも、何でお兄ちゃんのこと彼氏って?千鶴さんにだって、ケイくんがいるじゃないですか?」
千鶴さんだったらお似合いかも、ちょっと年上だけどケイくんと……
美男美女カップルを絵に描いたようだもの。
そう思うと胸が痛む。
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