ハッピー☆ラッキー



全国大会終了後、わたしは第一線を退いた。


世界を目指すバレーは卒業。


不器用なわたしにはふたつの夢を追うことはできない。


全国大会でやり切った感があったし、苦渋の選択ではなかったけれど、


これからはバレーの楽しさ、面白さを伝えていけたらと思っている。


「先輩、もう一度3年生やりましょうよ~!」


「あぁもう、しつこい!!!!」


キャプテンになって色々大変だけど、


頑張れ、亜子。


「うわぁーん、ナナ先輩、寛貴が……」


「泣くなよ千尋~!」


泣きじゃくる千尋の隣で宥める寛貴。


膝蹴り事件以来、寛貴の浮気もパッタリ治まり、仲良くやっているみたいだったのに……


「そういえば千尋、膝蹴りの極意、伝授してなかったね」


ポツリと呟きながら、寛貴をひと睨みすると、


「福山、違う、違うって!誤解だから!!!!」


寛貴の顔が恐怖に引きつった。



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