ハッピー☆ラッキー



わたしの方こそ、あなたの記憶の片隅に残っているだけでとってもシアワセですから……


「あ、あの時は……ありがとうございました」


取ってくれた問題集は違っていたけれど、今なら取れないところに置いてくれた本屋さんに心から感謝したい。


「どういたしまして。困った時はお互い様だからね」


セレブなイケメンくんなのに、案外気さくなのね。


だけど、緊張しすぎて言葉が出てこないわたし。


聞いてみたいことがいっぱいあるのに……


名前とか


名前とか


名前とか……。


でも、聞いてどうするよ?


わたしなんかが彼ほどのイケメン男子にお近づきになれるわけないでしょうが。


「キミんちの子、ハッピーって言うんだ?」


イケメンくんは優しい目でハッピーを見ると、


「こんにちは、ハッピー」


そう言うと、わしゃわしゃと頭を撫で始めた。


ハッピーはパタパタと尻尾を動かし、すっかりゴキゲン。


いいなぁ…


今日ほどハッピーのことを羨ましいと思った日はない。



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