ハッピー☆ラッキー



粘るふたりに根負けして、話したのが本屋さんでの一件。


間違えて高1の問題集を取ったことと、彼が高1だということはもちろん割愛したけど。


「「はぁぁぁ!!!?」」


ふたりの呆れた声がシンクロした。


「何それ、西城大付属に通っているってことしかわからないんですか?」


納得できないといった表情の亜子に無言で頷き、


「他に手がかりは!!!?」


聞き出そうと必死の形相の千尋に首を振った。


これ以上は話すまい。


犬の散歩で彼と再会したなんてことをうっかり言った日には……


食らいついたら離さないスッポン刑事のふたりのこと、聞き込み張り込み捜査の挙げ句、家ま
で割り出しかねない……。


「でも、何だかドラマみたいな出会い……」


うっとりとした表情で妄想の世界に入ってしまった千尋に対し、


「他に何か思い出せることはないんですね?」


追及の手を緩めない亜子。


わたしは容疑者ですか……?



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