ハッピー☆ラッキー



「今日は走らないからね」


ハッピーに念押ししてゆっくり歩く。


梅雨時とはいえ、今日はよく晴れて爽やかな1日だった。


痴漢にさえ遭わなければ、この青空のように晴れ晴れとした気持ちでいられたことだろう。


「はぁ……」


ダメダメッ!!!!


ため息なんて吐いたら幸運が逃げていっちゃうんだから。


気持ちを切り替えないと。


「ワン、ワンッ!!!!」


ハッピーがクンクンと鼻を鳴らして突然走り出した。


「ハッピー、ストップ!!!!今日は走らないって言ったでしょ!!!?」


でも、ハッピーは全く聞く耳持たずといった様子で、地面に鼻をくっつけ、臭いを辿って走っている姿は警察犬のよう。


「そっちは行かないよ!!!!」


あぁ、いつもと違うコースに入ってしまった。



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