ハッピー☆ラッキー
帰り際に、
「あ、そうそう、僕のことは幸坂さんじゃなくてケイって呼んで!明日ね、ナナちゃん」
幸坂さんはそう言うと、ラッキーと公園を後にした。
「はぁーーっ……」
今日はドラマになりそうなくらいに目まぐるしくて、
濃厚すぎる1日だった。
数分前の出来事はその最たるもので、
強烈さのあまり、今朝、痴漢に遭ったショックなんて頭の中からすっかり抜け落ちていた。
幸坂さん、いや、ケイくん(いきなり呼び捨ては恐れ多いからくん付けに……。)は、わたしの心をガッチリ掴んで離してくれそうにない。
なんて、勝手に思い込んでいるわたしは相当イタイ子なのかもしれない。
これも、恋するがゆえ。
夜になってケイくんからメールが届いた。
『明日の朝は、8時に北口改札前でいい?』
絵文字も何もないものなのに、嬉しくて保護メールにしてしまったわたし。
もうイタイ子とでも何とでも言ってやってください。
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