ハッピー☆ラッキー



失恋か……


「やばい、泣きそうだ……」


早く家に帰って部屋で泣こう。


必死に涙を堪え、早足で家に向かっていると、


「おーい、福山ー!待てよ!!!!」


後ろで声が聞こえた。


しかも、わたしが一番嫌いな男の声。


「寛貴……どうしたの?こんなところで」


寛貴がわたしを追いかけてくるなんて、どういうこと?


でも、おかげで涙が引っ込んでくれた。


たまには寛貴でも役に立つこともあるのね。


「これ、千尋んちの店に忘れていっただろ?」


寛貴が差し出したのは、わたしの携帯電話。


そうか、さっき家に電話した時にテーブルに置き忘れたんだ。


「お前、まだこんな骨董品の携帯使ってんのかよ?物持ち良すぎるぜ」


悪かったわね、骨董品で。



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