王子様と堕姫様
Ⅱ
生きる意味
私は住み込みの使用人だった。
部屋にある自分のものを一つにまとめ、
髪もおろし服はきれいに畳んだ。
今日の夜、
誰も起きていない時間帯に
そっと屋敷を出ていく予定だ。
「ここの生活も悪くなかったな…」
本心なのかどうなのか、
自分にもわからないセリフが
次々と頭を飛び交う。
きっとこれは今、
本当に生きる意味を失った、
だからこそ生まれる言葉なのだなと思った。
『コンコン』
部屋にノックの音が鳴り響いた。
開けてみると、
目の前にはあったばかりの王子様がいた。