王子様と堕姫様
使用人という名のお姫様
嵐のような日から何日か経った今日、
私はいつものように部屋の掃除をしていた。
今日は隣国の姫、
マリア様いらっしゃる日だ。
マリア様はとてもお優しい方だと
周りの使用人たちは言う。
”あの国のお姫様とは大違いだ”と。
私は自分の国を”あの国”と呼ばれるのが
大嫌いだった。
それと同時に、
まだ自分の国だと思っている自分も
なんだか見苦しいものだとも感じた。
今すぐにでも出ていきたいこの屋敷。
でも何だかあの王子の裏のある目、
裏のないような笑顔、
これが私の行動にいちいち水を差す。