王子様と堕姫様
日もすっかり暮れた。
夜空には点々と星も見える。
少し肌寒い気もしたが、
中に入るよりマシだった。
はたから見たらサボってると思われるかもしれないが、
今回に限ってはそんなことよりも嫌なことが
室内にはあったのだ。
庭に咲く夜のバラは少し不気味で、
とても綺麗だった。
「休憩中か?」
後ろを振り返るとそこには
シオン様の専属執事、
つまりエリカの恋人ルイが居た。
ルイとシオン様、そしてエリカは
三人とも幼馴染だ。
ルイとシオン様が仲良いのは目に見えてわかるが、
エリカとシオン様は不思議な組み合わせだったりする。
エリカはどうもいくつになっても、
シオン様には緊張してしまうようだった。
「びっくりした…」
「すまん、
エリカを見なかったか?」
笑いながら謝罪するも、
ちゃっかり目的は果たしている。
「エリカ?
中にいると思うよ。
今日はマリア様がいらしてるから。」
来た途端誰よりも見とれていた気がする。