王子様と堕姫様
「ふーん、
マリア様…か。
リア、知ってるか?」
「何を?」
「エリカが、アイツが一番好きな姫は
”リナリア・アネモーネ”様なんだよ。」
返す言葉を失う。
嬉しいのとその反面、
何故ルイがそんなことを”私”に言うのか。
夜風が私を一人取り巻く。
「お前、だよな。」
確信をつく一言。
「なんで分かったの?」
シオン様だけでなく、ルイにまで。
「俺も”シオン様”も
お前がここに来た時から気づいてたよ。」
そう言うと、
私を一人残してルイは去って行った。