王子様と堕姫様


そんなある日のこと、
街の人々がとある話をしているのを耳にした。



『とうとう、
あの国の王は疫病にかかったらしいわよ。
そんな王もシオン様が永遠の眠りにつかせたって話も。』



噂はすぐに広まった。



あの国が私の国であることもすぐに分かった。


私は今以上に自分の身元隠しに
神経を走らせた。

国がなくなった以上、
私は姫でも何でもない。

ただのリナリア・アネモーネだというのに。


私はこの国では”リア”と名乗ることにしている。



長い髪もぶっきらぼうに一つに束ねて
オヒメサマらしい要素は
どこにも見えないようにした。



大事な人がいなくなった以上
私が今生きる意味はなくなったのだ。













そう、その時決心した、
”シオン様を殺して自分も死ぬ”と。



迎えに来てくれない事はわかっている。


だったら自分が行けばいいのだ。


ただそれだけの話。



< 3 / 41 >

この作品をシェア

pagetop