王子様と堕姫様



「エリカ…
王子はさなんで急に私と…なんだろうね」


言葉に出すのは意外に恥ずかしいもので、
その相手がいくらエリカだとしても
思わず濁してしまう。


「そりゃ、リアが好きだからじゃない?」


「それは私じゃなくてマリア様でしょう?」


いくら少し鈍い私でも、
この二人が両思いなんだな、
ってことぐらいは分かっているつもりだ。


「んー、周りは王子の事なんだかんだ言って
よく分かってないんだよ。
私自身も分かってないけど、
でもルイと私は王子の幼馴染だよ?
他の使用人よりは分かってるつもり。」



エリカは王子と幼馴染のくせに、
未だに王子と話したりするのはとても緊張する、
って前にも言ってたっけ。


「私はこの国の人なんか大嫌いよ…
王子なんてとくに…」


とっさに出てきた言葉。

王子が私を好きだ、ということを否定するには
少し行き過ぎた答えだった。


もちろんエリカもこの国の人。


遠まわしにエリカまでもを
嫌いと言ってしまったようなものだった。
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