王子様と堕姫様



「じゃあ…なんでこの国にいるの??
出ていけばいいじゃない。ここは私の国よ。
ここのお屋敷はリアと過ごした大事な場所。
そんな使用人…この屋敷にいてほしくない…!!」


初めてエリカが声を荒げたのを聞いた気がした。


何も言い返せなかった。


私は馬鹿だった。

とても、とても愚かな奴だった。



沈黙が続いた。

エリカは泣いていた。


私は泣くことが出来なかった。



ただ、


「エリカ…さようなら」



そう言って部屋を後にした。


シャワーから出たばかりの
はしたない格好で外へ走り出す。

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