王子様と堕姫様
外はあいにくの雨だった。
まるで私の心を表しているかのようだった。
降りやまない雨。
それどころか段々強さが増している気がする。
どうしようもなく、
もう二度とは帰って来ないと思っていた
父の知り合いのおじさんのお店へ足を運ぶ。
「おじさん…リアです。
リナリア・アネモーネです。」
歩き回って見回してみるとカウンターの陰におじさんの姿が見えた。
「おお、リナリア、久しぶりじゃのぅ…
元気にしておったか…」
久々に声を聞いて安心してしまったのか、
涙がぽろぽろと零れ落ちた。
おじさんをおろおろさせてしまう。
泣き止め、泣き止め、
何度思っても涙は止まらず出てくる。
いつの間にか自分にとって
エリカがこんなにも大きな存在になっていたことを実感した。
結局聞きたいことも聞けず仕舞いで終わってしまった。
これからのことを色々考えなければいけにのに、
おじさんは優しく私を迎え入れてくれた。