王子様と堕姫様
「いたか?」
「屋敷の周りにはいなかったわ…
リア…どうしよう…っ!!!」
リアの姿は全く見当たらなかった。
王子は言った。
「あの子にはまともな居場所はないんだ。
帰る家なんてどこにもない。
自分の命の大切さも何も分からない姫なんだ。」
「姫…?」
エリカが姫という言葉に反応する。
その姫という意味はリアを表す代名詞なのか、
それとも純粋にリアは姫なのか。
「今はもう…違うけどな。」
エリカが何かを発見したような表情に変わる。
「まさかリアって…リナリア…様?」
再び真っ青とした顔に変わる。
今のエリカにとって憧れのリナリアがずっと自分の傍に居た、
という事実よりもそのリナリアに嫌われてしまったかもしれない、
路頭に迷わせてしまっているかもしれない、
ということの方が十分に大きくなっていた。