王子様と堕姫様
ただ死ぬだけではつまらない。
それならば…殺してやる。
そうしてこの城の使用人として
日々その瞬間を狙っている毎日。
そう、毎日私はシオン様と顔を合わせている。
そのたびに怒りが込み上がって
今にも文句を言いそうになる。
しかしそれと同時に、
不思議な気持ちも湧き上がっていた。
”本当にこの人が殺したのか”
びっくりするほど、
気さくな人に見えた。
誰が挨拶しても
必ず何かの形で返してくれた。
もちろん、私にも。