王子様と堕姫様
考えてみると、
シオン様にこうやって話しかけられるのも
初めてだったりする。
庭に行って見れば、
数人の使用人達がすでに掃除をし始めていた。
「ちょっとリア!
どうしてシオン様と一緒にいるの!」
私たちの姿を見てすぐに飛んできたのは
このお屋敷の中で一番の友達、
エリカであった。
彼女は私がここに来た時に
誰よりも早くに話しかけてくれ
たくさんのことを教えてくれた。
とても可愛い、
唯一信用してもいい人だ。
シオン様の専属執事と
秘密の恋をしてるところは
少々不安ではあるが。
「たまたまよ。
シオン様も庭に来たかったみたい。」
そう言うと、
エリカはつまらなそうに『そっか…』
と言って持ち場に戻って言った。
シオン様は周りの花見た後、
そっと私に寄ってきた。
「秘密の場所に案内しましょう。”リナリア姫”」
最後の言葉に私の体が一気に硬直した。
そのまま無言の圧力に逆らえないまま
私はシオン様の元についていった。