隣の雪水
「君は、矢野さんだよね」
相手も私の名前を知っているようで。
人気者の名前を知っているのは当たり前で、
だからと言って人気者が一般人の
なんの特徴もない私の名前を知っているわけではない。
「はい、矢野です。
すみませんが私買い物があるので…」
誰かに見られる心配はする必要はないのだが、
やはり長時間一緒には居にくい相手。
「んー、俺も行っていい?
暇なんだよねー。」
予想外の返事に戸惑う私。
ただ買い物に行く予定だったのが、
暇人という名の人気者のお相手もしなければならなくなった。
「どうぞ…ご自由に…」
歩き出す私と人気者。
異様な組み合わせの私達は
とりあえずスーパーに向かった。